F-35Bを搭載するいずも型護衛艦を指揮するのは海自? 空自?

 日本にとって、F-35Bの拡充を今の時点で決めるのは適切とは言い難い。たとえ、貿易赤字の縮小に貢献するとしてもだ。まずは、現実に何ができるのかを検証する必要がある。「いずも」と「かが」の改修を進め、F-35Bを操縦できるパイロットを養成し、現実に動かせるようにすることが先決だろう。海上を航行し、波に揺れるいずも型護衛艦の甲板にF-35Bを着陸させる技量を身に付けるのは、垂直着陸が可能であるとはいえ、それほど容易ではない。

 指揮系統の整備も必要だ。いずも型護衛艦を動かすのは海上自衛隊。F-35Bを擁する戦闘機部隊は航空自衛隊に属す。このセットの指揮を誰がどのように執るのか、「詳細は決まっていない」(自衛隊関係者)

 奇しくもこの点を、先週封切られた映画『空母いぶき』が取り上げている。「いぶき」はF-35Bらしき戦闘機を搭載する架空の空母。その艦長は、航空自衛隊でパイロット出身。これを補佐する副長は、海上自衛隊のプロパー。しかも、この二人は防衛大学校で同期だった。映画では、作戦を巡って両者が意見を異にする場面が描かれる。

 かたや「一人で戦うパイロット」。こなた「同僚を信頼し命を預ける船乗り」。その文化の違いは決して小さくない。

 さらに、何ができるのかを見極めた上で、他の装備案件と比較して優先順位を決める必要がある。例えば南西諸島防衛を充実させるなら、STOVL機であるF-35Bの拡充ではなく、すでに導入を進めているF-35Aと空中給油機の数を増やした方が適していることも考えられる。

 「かが」は、広島県呉を母港とする第4護衛隊群の所属。ということは、トランプ大統領の視察を受けるために、わざわざ横須賀に回航した可能性がある。それだけの手間をかけて、同大統領の“ビジネスマン魂”に火をつけるリスクを負う必要があったのか。このリスクは、ゴルフのプレー代や国技館の升席改修とは桁の違う費用負担をもたらす。

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