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いずも型護衛艦の2番艦「かが」(写真:ロイター/アフロ)

 ドナルド・トランプ米大統領が5月28日、安倍晋三首相とともに海上自衛隊の護衛艦「かが」を視察した。同艦は、ヘリコプター搭載型の護衛艦「いずも」型の2番艦。いずも型は、2018年末に閣議決定された防衛大綱で、STOVL機(短い滑走で離陸し、垂直着陸できる特徴を持つ)を搭載できるよう改修することが決められた。これを踏まえて、米ロッキード・マーチン製のステルス戦闘機「F-35B」を導入する。トランプ大統領がこの「かが」を自身の目で見たことが、その“ビジネスマン魂”に火をつけないか。そんな懸念が頭をよぎる。

 自衛隊は、F-35Bを搭載するいずも型護衛艦の用途として太平洋上での哨戒・監視や緊急避難を想定する。ただし、有事の際に、空母を中心とする米艦隊が太平洋を渡って来援するのを支援する役割を果たすことも可能とされる。海上自衛隊で自衛艦隊司令官(海将)を務めた香田洋二氏は日経ビジネスのインタビューに答えて、以下の用途を語った(関連記事:「中国の空母「遼寧」に対抗する意図の艦船は論外」)。

 日本に向かう米空母部隊を支援すべく、海上自衛隊の対潜水艦部隊が太平洋に向かう。これを阻止すべく、某国が爆撃機を派遣して大量のクルーズミサイルで日本の対潜部隊を攻撃する。海上自衛隊のイージス艦は飛来するクルーズミサイルは撃墜できるが、爆撃機そのものには対処できない。

 爆撃機は繰り返し出撃して海自の対潜部隊を攻撃するため、長期化すれば作戦の継続が難しくなる。これを回避するためには、爆撃機を撃ち落とすための装備が必要。太平洋上に航空自衛隊の基地はないので、いずも型護衛艦とF-35Bの組み合わせにより対処する。

 こうした用途に使用できる「かが」を見たトランプ大統領はどう考えるか。同大統領は日米貿易交渉を進展させ、対日貿易赤字を縮小させることに大きな期待を抱いている模様。「8月に発表がある」との発言は切羽詰まった感すら感じさせる。その手段として防衛装備品の輸出は有力だ。2018年9月の日米首脳会談でも「日本は巨額の防衛装備品を買っている」と発言。実績を評価するとともにさらなる購入を期待した。

 「シンゾー、F-35Bをもっと買ったらどうか。日本にも米国にも役に立つ」。場合によっては、こう考えたかもしれない。

 確かに、現行の計画よりもう十数機増やすのが適切との考え方もある。現行は42機を導入する計画。いずも型護衛艦が搭載できるのは最大で12~14機とされる。したがって、42機ならば3隻分だ。「いずも」と「かが」に搭載する分のほかに、メンテナンスと教育用のセットが必要と考えると、もう1セット分あってもおかしくはない計算になる。