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警官の背後に見えるのが、トランプ米大統領が宿泊したパレスホテル東京(写真:森田直樹/アフロ)

 令和初の国賓として25日に来日した米トランプ大統領がこのほど、大統領専用機で日本を去った。3泊4日と今までと比べて長めの滞在で日米首脳会談のほか、ゴルフや大相撲観戦などのイベントをこなし、日米関係の親密ぶりをアピールした。

 通常、国賓待遇で来日する要人は東京・元赤坂の迎賓館に宿泊するのだが、米大統領に関しては例外が続いている。14年のバラク・オバマ大統領来日の際は、米側の要請で米国大使館にほど近いホテルオークラでの宿泊となった。理由は明らかにされていないが、効率性・合理性を重んじるオバマ大統領の意向もあったといわれている。「迎賓館は、空調をはじめ設備が古くなってきている。快適さで比べればホテルのほうが上なので、最近は主要国の要人は利用しない傾向がある」と、都内ホテルに詳しい井門観光研究所の井門隆夫氏は話す。

 トランプ政権になってからも、宿泊するホテルは来日ごとに変わっている。17年の来日時は東京・日比谷の帝国ホテル。今回はパレスホテル東京だった。ホテルオークラは現在、本館建て替え中でリニューアルオープンは19年9月上旬を予定しているため、選択肢には入らなかったようだ。

地下鉄直結だと選ばれにくい?

 そもそも、大統領の宿泊するホテルはどのような基準で選ばれるのだろうか。まず考えられるのが警備・保安上の条件を満たしているかどうかだ。地下鉄の駅とつながっていて、一般人が出入りしやすいホテルはリスクが高いため、選ばれない傾向がある。「過去に宿泊したホテルオークラも帝国ホテルもその条件を満たしていたが、パレスホテルは東京メトロ大手町駅と直結している。それだけに、今回の選択は意外と感じた」と、井門氏は話す。今回の来日に際し、警察庁は前回より4000人増やした約2万5000人の警察官を投入すると明らかにしている。

 もっとも「パレスホテルが選ばれた理由の中で大きいのは天皇、皇后両陛下にとっての利便性なのでは」と話すのは皇室を長年取材してきたジャーナリストだ。天皇、皇后両陛下は27日にトランプ大統領と会見しただけでなく、28日午前にはお別れのあいさつのためにパレスホテルを訪れている。お別れのあいさつは国賓を迎えた際の定例行事だが、こうしたイベントにおいて、皇居に近い場所にあるパレスホテルの利便性が重要視されたというのだ。

 おもてなしのクオリティーとしては申し分ない。パレスホテルは2018年11月に発売された「ミシュランガイド東京2019」で、4つ星の帝国ホテルよりも高い4つ星+を獲得。19年には「フォーブス・トラベルガイド」が発表する2019 VERIFIED LISTにて「世界で最も美しい客室 WORLD’S BEST ROOMS」を、国内で唯一受賞した。帝国ホテルよりも格上である点も「特別待遇」を演出する上で理にかなっていたといえよう。

 パレスホテルのウェブサイトを調べたところ、5月25~28日までは「大型団体の宿泊がある」と記載されていた。試みに、2020年の同時期で調べてみると、大人2名、1泊朝食付きスイートで宿泊代はおよそ15万円から30万円くらいまで。国賓を1人招くのに要する政府の支出は2500万円といわれている。自身の名を冠するホテルグループを経営するトランプ大統領。今回のホテルには、満足したのだろうか。

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