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 18日にイタリア・ミラノに集結し、気勢を上げたEU(欧州連合)懐疑派の勢いは本物だった。

 26日に投票が終わった欧州議会選挙(定数751議席)では、各国でEU懐疑派が議席を伸ばした模様だ。イタリアではサルビーニ副首相が率いる「同盟」が第1党になり、フランスではルペン党首の「国民連合」がマクロン大統領率いる「共和国前進」を退け、第1党に。英国では強硬なEU離脱を目指す「ブレグジット党」がトップに立った。ドイツでは「ドイツのための選択肢(AfD)」が議席を伸ばした。

 こうした中、議会第1会派の「欧州人民党」と連立を組んでいた第2会派の「欧州社会・進歩連盟」が共に議席を減らし、過半数割れに追い込まれたもようだ。欧州人民党には、メルケル独首相やトゥスクEU大統領、ユンケル欧州委員長が所属する。 2大会派は過半数を得るために他会派との連立を組まなければならなくなった。今後、EU懐疑派などが結束すれば与党の政策実行を阻止できる。

 今回の選挙結果を受けて、「EU離脱」の動きは加速するのだろうか。

18日、同盟のサルビーニ党首が呼びかけ、イタリア・ミラノに欧州各国の極右政党やEU懐疑派が集まった(写真:AP/アフロ)

サルビーニ伊副首相の同盟は極右なのか

 注目すべきは、「国家と自由の欧州」という会派などEU懐疑派の動向だ。同会派はイタリアの同盟やフランスの国民連合で構成し、今回の選挙で議席を伸ばしたが、どこまで結束できるかは未知数だ。

 メディアの中にはEU懐疑派をまとめて「極右」と呼ぶ報道もあるが、実態はまだら模様と言っていい。

 フランス国民連合のルペン党首はイスラム教徒を差別する発言を繰り返している。ドイツのAfDも明らかな人種差別政策を掲げている。これらはいわゆる「極右」の勢力と言えるだろう。

 しかし、イタリアの同盟は極右かどうかは意見が分かれている。少数民族のロマ族の人口調査を実施すると発言して物議を醸したが、実際の主張は不法移民の締め出しであり、合法的な移民を追い出すとは言っていない。躍進した野党勢力の間でも、政治信条に隔たりがある。

 ミラノで移民の人々に話を聞いても、同盟に対して親近感を持つ人がいる。エジプト出身の移民で、ミラノで運転手として働く30代のサラさんは同盟を支持している。「サルビーニは不法移民の締め出しを主張していて、私のような合法的な移民は受け入れている。EUとエリート層の既得権益の矛盾を突いている点が賛同できる」と話す。

 EUに対するスタンスも批判の度合いに濃淡がある。国民連合のルペン党首はかつてEU離脱を明確に訴えていた。一方、同盟のサルビーニ党首は「EUを変える」と発言しており、離脱するとは主張はしていない。財政規律か、移民問題か。EUのルールを変えたい部分は懐疑派の中でも多種多様であり、まとまった動きにつなげるのは難しそうだ。