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 デンソーは5月24日、メディアや機関投資家などを対象にした事業方針説明会を開いた。有馬浩二社長ら役員が出席し、事業方針を説明するのはデンソーとしては初の試みとなった。

 モーターやパワーコントロールユニット(PCU)などハイブリッド車(HV)の基幹部品を手掛け、トヨタ自動車のHV展開を支えるデンソーは、トヨタが進める開発や生産の効率化でもけん引役を期待される「優等生」のサプライヤーだ。同社は独ボッシュや独コンチネンタルといった独立系の欧州のメガサプライヤーにも十分伍(ご)していける存在となっている。

 ただボッシュやコンチネンタルは自動運転やMaaS(モビリティ―・アズ・ア・サービス)の進展といった自動車産業の変化に合わせ、完成車メーカーがこれまで担ってきた領域にも踏み込もうとしている。一方、デンソーはトヨタグループの一員として、成長を目指す方針を打ち出している。

事業方針説明会に臨むデンソーの有馬浩二社長

 「頭にあるのはトヨタグループの競争力強化」。20日に発表した燃料ポンプモジュールなどエンジン関連部品を製造する愛三工業の持ち分法適用会社化検討について説明会で聞かれ、有馬社長はこう答えた。デンソーはトヨタが保有する愛三工業の株式を取得し、愛三工業に約38%を出資する筆頭株主になる。デンソーが手掛けるエンジン関連部品の一部を愛三工業に譲渡し、両者で重複していた部品の生産を集約して生産性の改善などにつなげる。

 トヨタはグループで強みを持つ企業に重複事業を集約する「ホーム&アウェイ」戦略を加速している。デンソーはトヨタ本体の電子部品事業を2020年4月に統合する予定。このほか、アイシン精機、ジェイテクト、アドヴィックス(愛知県刈谷市)と組んで自動運転の統合制御ソフトウエアを開発する会社を立ち上げたほか、アイシンとは4月に電動車両の駆動モジュールの開発・販売を担う共同出資会社を設立するなど、トヨタグループの競争力強化で中心を担う。

 「ボッシュやコンチネンタルがドイツの自動車メーカーとがっぷり組んでやっているが、うちはトヨタをはじめ、日系とがっぷり組んでやっている。トヨタグループにいる意味はある」。トヨタ系であることの意味を問われて、有馬社長はこう回答した。

 完成車メーカーの系列に属さず、全方位で事業を拡大しているボッシュやコンチネンタルに対し、デンソーは2019年3月期の連結売上高5兆3627億円のうち、46.3%がトヨタグループ向けを占めている。トヨタは車両電動化に関連する特許の開放を決め、今後は他社の自動車にもトヨタのHV技術が広がっていくとみられ、デンソーが受ける恩恵も大きい。トヨタにとっても、地殻変動が起きている自動車産業の中で生き残っていくためにデンソーはますます欠かせない存在なっている。

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