米国に拠点を置く製薬企業のロビー団体である米国研究製薬工業協会(PhRMA)が5月23日、難病・希少性疾患の認知度向上を図るために記者向けの説明会を開催した。ちょうど5年前の5月23日に難病法が成立し、日本での難病・希少疾患対策は大きく進んでいるものの、まだまだ課題は多く残されている。

難病・希少疾患というと、自分には縁の遠い疾患と思われるかもしれないが、決して他人事ではない。難病法が施行された当初、医療費助成の対象となる「指定難病」は110疾患しかなかったが、これまでに333疾患に拡大。患者数は約100万人に上る。その多くは遺伝性の疾患で、ゲノム研究の進展などを受けて遺伝性の希少疾患の存在がどんどん明らかになっている。
国が難病・希少疾患対策として行っている取り組みに、未診断疾患イニシアチブ(IRUD)というものがある。深刻な症状を訴えて医療機関を受診しても「原因不明」とされ、悩みを抱えている患者を全国から掘り起こし、遺伝子を解析して診断をつけようというプロジェクトだ。プロジェクトは2015年度に始まり、18年7月までの3年間で2756人の患者と、その家族の遺伝子を解析し、1027人の患者に診断がついた。この取り組みにより、全く新規の18の遺伝性疾患が見つかっている。
ちなみに、家族に同じような症状が現れることなどから、遺伝性と考えられている疾患は8528あるが、このうち原因の遺伝子が分かっているのは3361疾患のみ。遺伝子解析を通じて新たな遺伝性の疾患は今後も続々と見つかっていく可能性がある。
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