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(写真:Nicolas Datiche/アフロ)

 「派手に見えて地味。だが、緻密に設計されたキャンペーンだ」(決済事業者幹部)。

 スマートフォン決済サービスを手がけるLINE Payは2019年5月20日から29日までの10日間、総額300億円を原資としたキャンペーンを開始した。LINEでつながっている友人や知人に1000円分の「LINE Payボーナス」を送ることができ、受け取った人は店舗やオンラインショッピングで利用できる。

 300億円という金額で一見、ばらまき型のキャンペーンにも見える。だが、実は一人の利用者が受け取れるのは1000円分。LINE Payを含め、様々な事業者が展開してきた従来のキャッシュバックキャンペーンとは一線を画したものになっているため、LINEユーザーの中には「キャンペーンの目的が分からない」と、とまどう声も多い。

 今回のキャンペーンのポイントは受け取り時に本人確認を必要としている点だ。

「LINE Cash」と「LINE Money」の違い

 LINE Payはもともと2種類のアカウントを用意している。本人確認前のアカウントの「LINE Cash」、本人確認完了後のアカウントの「LINE Money」だ。

 2つのアカウントが用意されているのは、法律上の位置づけによって、サービス内容が異なるためだ。LINE Cashは商品券やプリペイドカードと同様、事前にお金を支払って利用する「前払式支払手段」と呼ばれる。一方、LINE Moneyは「資金移動業」と呼ばれ、前払式支払手段と比べてチャージ上限額が10万円から100万円に拡大し、LINEで繋がっている友人や知人への送金や銀行口座やATMへの出金が可能になる。

 LINE Moneyの方が利便性が高いが、一つ難点があった。自由度が高い分、マネーロンダリングなどの危険性が高く、本人確認の徹底が事業者に義務づけられているのだ。LINEが従来提供してきた本人確認手段は銀行口座との連携、もしくは郵送手段のみ。手間がかかるため、敬遠していたユーザーが多かった。