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 コーポレートガバナンス(企業統治)問題で揺れるLIXILグループが、次期取締役候補を相次いで追加している。5月13日に8人の取締役候補を発表していたが、17日にコニカミノルタの松崎正年取締役会議長の追加を発表。さらに20日にはバラク・オバマ米大統領時代に米国務省で東アジア・太平洋担当国務次官補を務めたカート・キャンベル氏をリストに加えた。6月下旬の定時株主総会で、株主から選任されることを目指す。

5月13日に指名委員として8人の次期取締役候補者を発表していた菊地義信取締役。この日からさらに2人を追加した。

 次期取締役候補を巡っては、昨秋にCEO(最高経営責任者)を解任された瀬戸欣哉氏が、自身を含む8人を株主提案している。瀬戸氏の解任を主導した、LIXILの前身会社の1社である旧トステム創業家の潮田洋一郎会長兼CEOの影響力を排除し、ガバナンスを健全化する狙いだ。

 会社側の候補者10人のうち2人は、瀬戸氏の株主提案で候補者とされた前最高裁判所判事の鬼丸かおる氏と、元あずさ監査法人副理事長の鈴木輝夫氏。会社側は鬼丸氏と鈴木氏から事前の了承を得ていないにもかかわらず候補者として公表しており、両氏は会社側の候補者に名を連ねることを了承するかどうか、態度を保留にしている。そのため、現時点で両陣営の候補者は実質的に8人ずつとなり、「数」の上で勢力は拮抗した。

会社側と瀬戸氏側の取締役候補
会社側瀬戸氏側
大坪 一彦 LIXIL グループ執行役副社長、LIXIL代表取締役社長 兼 COO 瀬戸 欣哉 LIXILグループ取締役 前CEO
三浦 善司 元リコー代表取締役社長兼 CEO 伊奈 啓一郎 LIXILグループ取締役
河原 春郎 元JVCケンウッド代表取締役会長兼社長兼CEO 川本 隆一 LIXILグループ取締役
福原 賢一 ベネッセホールディングス代表取締役副会長 吉田 聡 LIXIL取締役 専務役員
竹内 洋 元関東財務局長、元日本政策投資銀行取締役常務執行役員CFO 西浦 裕二 元三井住友トラストクラブ代表取締役会長、元アクサ生命保険取締役会長
内堀 民雄 元ミネベアミツミ取締役専務執行役員 濱口 大輔 前企業年金連合会運用執行理事
松崎 正年 コニカミノルタ取締役 取締役会議長 鬼丸 かおる 前最高裁判所判事
カート・キャンベル 元米国務省 東アジア・太平洋 担当国務次官補 鈴木 輝夫 元あずさ監査法人副理事長
鬼丸 かおる 前最高裁判所判事
鈴木 輝夫 元あずさ監査法人副理事長
(注:色付きのセルは社内取締役。鬼丸氏と鈴木氏は瀬戸氏側が最初に候補として選んだ)

 LIXILグループは定款で取締役の上限を16人としており、依然として両陣営の候補者が全員、選任される可能性がある。瀬戸氏は、「会社側の候補者を排除するための委任状争奪戦(プロキシーファイト)はしない」との姿勢を示してきた。全員選任されれば、会社側の候補者と一緒に取締役会を構成することになるからだ。いわば“大人の対応”を見せることで、株主からの支持を期待する。ただ、鬼丸氏や鈴木氏から事前の了承を得ていなかったり、候補者を後から追加したりする手法には「強い疑問を感じる」と不快感を募らせる。

 今後の焦点は、会社側がさらに候補者を追加するかどうかだ。株主総会の招集通知は開催日の2週間前までに発送する必要があり、印刷などの事務手続きを考慮すると、会社側には今後1週間ほどは候補者選定の猶予があると見られる。

 会社側の独自候補が9人以上になると、株主総会に諮る候補者数が定款上の上限を上回り、選任されない候補者も出てくる。その場合、会社側は瀬戸氏が選任されないよう、様々な手段を講じてくると見られ、瀬戸氏側も対応を迫られることになりそうだ。一方で、会社側は当初、「(取締役会の規模は)8名程度を基本とするべき」という考え方も示しており、今後の出方が注目される。

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