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ファーツリー・パートナーズのアーロン・スターン氏

 「(鉄道事業は)経営陣の手腕で収益性が改善されている」「口出しはしない」

 JR九州の大株主となっている米ファンド、ファーツリー・パートナーズが20日に東京都内で開いた記者会見。同社のマネージング・ディレクター兼パートナーのアーロン・スターン氏は赤字路線を多く抱えるJR九州の鉄道事業について問われると、こう答えた。

 ファーツリーはニューヨークに拠点を置き、JR九州など複数の日本企業にも投資している。3月にはJR九州の株式を保有比率で6.1%まで買い増した。同社は6月の株主総会に向けて、発行済み株式の10%の自社株買いや、指名委員会等設置会社への移行、指定した社外取締役の任命など6項目を提案している。JR九州の青柳俊彦社長は「今の環境下ですべき施策ではない」などと反対を表明していた。

 スターン氏は会見で「(JR九州の提案の)中身をよく見ると一部満足できる内容もあった」と語り、役員報酬に業績連動型株式報酬制度を導入することなどを評価した。一方で、自社株買いは引き続き主張していくと説明。提案をめぐる委任状争奪戦(プロキシーファイト)の考えについては言及を避けた。

 会見でスターン氏はJR九州の鉄道事業についても言及した。それが冒頭の発言だ。

 JR九州の外国人持ち株比率は約4割に及ぶ。そのためJR九州の鉄道が走る沿線の自治体は以前から、路線網縮小の不安を抱えてきた。国内では13年に、米投資会社のサーベラスが西武鉄道の親会社の西武ホールディングスに対し、路線の一部廃止を提案したとの報道も出た。

 「物言う株主」の動きに対し、JR九州の幹部は「現時点では路線網への影響はないと思っている」と語る。一方で、運輸アナリストの1人は「海外の投資家はJR九州を鉄道会社ではなく、不動産会社とみている。現状では何も言わないかもしれないが、業績全体に影響を及ぼしうる状態になれば路線網の縮小も主張してくる可能性はある」と話す。

 16年10月にJR九州が上場して約2年半。人口減少などで基幹の鉄道事業はますます厳しさを増す可能性がある。公共交通機関の運営会社として利用者の利便性を維持しながら、株主にどう向き合っていくか。ファーツリーの一連の動きは、人口減の進む日本で公益性の高い事業をいかに永続させていくかという課題を投げかけている。

JR九州が運行するローカル線の沿線自治体では路線縮小への危機感が広がる。写真は鹿児島県と宮崎県を結ぶ吉都線(写真:アフロ)
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