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セブン-イレブン・ジャパンは弁当やおにぎりなどの廃棄ロス対策に本腰を入れる(写真:共同通信)

 コンビニエンスストア最大手のセブン-イレブン・ジャパンが今秋から、販売期限まで数時間に迫った弁当やおにぎりなどの販売に、本部の負担でポイントを付与することが明らかになった。購入者に付与するのは電子マネー「nanaco(ナナコ)」のポイントで、現状の5倍(100円で5ポイント)程度を還元することなどを検討している。購入者から見れば事実上の値引きに当たるが、同社は「あくまでも、値引きではない」と説明する。

 販売期限が切れた商品の廃棄による損失は原則、商品を仕入れた加盟店の負担になる。同社が「値引きではない」とするのは、今回はポイント費用を本部が負担するため、販売促進策という位置づけだからだ。「値引きではなく販売促進」という位置づけが本部にとって重要な背景には、販売価格は加盟店が判断するという原則がある。

 コンビニの廃棄ロス問題では、本部と加盟店の間で綱引きが続いてきた。廃棄ロスによる損失を減らしたい加盟店が見切り販売をすることを巡っては、2009年に公正取引委員会がセブンイレブンに対し、本部が加盟店の値引き販売を制限することは独占禁止法違反に当たるとして、排除措置命令を出している。だが、ある加盟店オーナーは、「値引き販売はイメージが悪くなるといったことを本部から言われた」と打ち明ける。

 セブンイレブンは昨年末から直営店約20店舗で、ポイント付与による廃棄ロス削減の実験を2回、実施してきた。今回の決定はその成果を踏まえたものだ。こうした取り組みを進めるのは、販売期限が切れた商品の廃棄ロスの問題は、環境負荷軽減の観点からも社会的な関心が高まっているからでもある。

 セブンイレブンが4月25日に公表した「行動計画」や、親会社であるセブン&アイ・ホールディングスが5月8日に発表した環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」にも、食品の廃棄ロス問題への対応を強化することが示されている。

 コンビニ3位のローソンも5月17日、販売期限が迫った商品のポイント還元を強化することなどによる廃棄ロス問題への対策を発表した。ローソンの竹増貞信社長は、「加盟店の裁量で値引きによる売り切り、廃棄削減に取り組んできたが、加盟店から『ローソンらしい取り組み』を求める声があった」と話す。

 ただし、コンビニ各社がこうした取り組みを強化するのは、本部の負担による加盟店支援を強化しなければならない時代に突入したという、潮目の変化が大きい。飽和状態ともいわれるコンビニ市場は店舗間の競争が激しくなっている。人手不足によって、一部の店舗では24時間営業の維持も危ぶまれている。

 コンビニ各社は営業時間短縮の検討などを迫られており、今回の廃棄ロス対策の強化も、こうした流れの中にある。最大手のセブンイレブンは業界の中でも本部の力が特に強いことで知られる。だが、セブンイレブンが懸案だった廃棄ロス問題に本腰を入れることは、本部と加盟店の力関係が一つの転換点を迎えたことを示唆している。

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