経営再建中の大塚家具は5月15日、精査中としていた2020年4月期の業績予想を公表した。決算期を変更し、19年1月~20年4月までの16カ月の変則決算となるため単純比較はできないが、営業利益を1億5700万円と、15年12月期以来4期ぶりの黒字転換を見込む。ただ、12カ月換算では、売上高は18年12月期比13.5%減の323億5500万円、営業損益は7億2100万円の赤字となる。

 創業50周年を企画したイベントや独占販売権を持つブランドの専用店舗の新規出店などで売り上げを維持したい考え。ただ、中長期の成長事業に据える中国事業は予想に織り込めるほど確度は高くなく、前途はまだ険しい。

下期に改装予定の大阪市の店舗
下期に改装予定の大阪市の店舗

 「営業赤字は3月から縮小し、4月も同じ傾向が続いている。下期に向けて月次で黒字化が近くなっている」。15日、大塚久美子社長は販売が回復傾向にあると強調した。大塚家具は直営店舗を相次ぎ閉鎖する一方、「提携店舗」と呼ぶ百貨店内の売り場を拡大してきた。18年3月には独占販売権を持つ伊高級ブランド「ポルトローナ・フラウ」の専門店を開き、従来とは異なる売り方を模索してきた。

 20年4月期は下期に、独高級ブランド「ロルフベンツ」の専門店を東京・青山に出店するほか、創業50周年を記念した店舗での企画や新商品を投入する。10月に予定される消費増税前の駆け込み需要などを見込み、売上高は442億円を計画する。ただ、12カ月換算では323億円と18年12月期比で13.5%減る見込みで、国内事業の縮小傾向に歯止めはかかっていない。「予想通り悪い数字だったが実現できるか不透明」(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)。

 この業績予想には、大塚家具が成長の切り札として期待する中国事業は織り込んでいない。大塚社長は「受注が決定するなど売り上げ見込みが立ち次第修正する。大きな伸びしろがある」と説明する。だがこれは裏を返せば、プライベートジェットや空港ラウンジの内装を手掛ける中国航空器材集団や、建材や戸建てマンション販売を手掛ける北新建材集団との商談を開始したものの、売り上げ増につなげられる確たる材料はないということだ。

 大塚家具の社外取締役で、業務提携するシステム会社、ハイラインズ(東京・渋谷)の陳海波社長は「中国事業は来期50億円、3年後に150億円のイメージ」と強気の目標を口にした。大塚社長は「日本の家具は中国にほとんど輸出されていない」と指摘するなど、中国事業の拡大に大きな期待を寄せるが、現時点では未知数だ。

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