
「一つひとつの施策を積み上げることで達成は可能だ」。東芝の車谷暢昭会長兼CEO(最高経営責任者)は5月13日に開いた決算説明会で、今年4月から始まった中期経営計画「東芝ネクストプラン」のスタートダッシュに自信を見せた。
東芝が同日発表した2020年3月期の連結営業利益見通しは、前の期比約4倍の1400億円。米中貿易摩擦などを背景に世界経済の先行き不透明感は増しているが、昨年11月に発表した中計初年度の目標から変更しなかった。「19年度の目標はネクストプランから不変だ」と車谷会長は強気な態度を崩さない。
19年3月期の営業利益は前の期比59%減の354億円と、中計の発射台となる数値は計画(600億円)からは大きく下回った。今期も、システムLSIなど半導体で減収を見込む。そこで、東芝が進めるのはコストダウンなどの強化。拠点統合などの構造改革の追加や、営業改革の前倒しなどで実現する計画だ。
ただ、昨年の中計策定時点と比べると東芝にとって想定外の出来事もある。東芝株を保有する米投資ファンドが同社創業者の社外取締役就任を求め、最大のリスク要因だった米液化天然ガス(LNG)事業の中国ガス大手への売却契約も白紙になった。
東芝では13日、6月開催の定時株主総会に提出する取締役の選任案を発表。外国人やLIXILグループ元社長の藤森義明氏などを選任し、取締役12人中、約8割の10人を社外取締役にする方針を明らかにした。
社外取締役就任を求めた米ファンドの要求通りにはしなかったが、約80年ぶりに外国人取締役を起用することでガバナンス体制の強化姿勢を鮮明に打ち出し、「物言う株主」への配慮をにじませた。米LNG事業売却についても、「売却方針は変わらない」(車谷会長)として、今期中の売却先選定を急ぐ考えだ。
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