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退任の理由を説明し、株主やオーナー、入居者らに謝罪する深山英世社長(左)

 賃貸アパート大手のレオパレス21は5月10日、深山英世社長が退任する人事を発表した。退任は同月30日付で、後任には取締役常務執行役員の宮尾文也氏が昇格する。同社は、アパートの施工不良問題を受けて、2019年3月期に巨額の特別損失を計上している。8年ぶりに最終赤字となった、経営責任を取った形だ。

 深山氏は同日の決算会見で「毀損した信用と業績の早期回復を目的として、経営体制の刷新を図る」と退任の理由を語った。ただ、オーナーとの信頼関係づくりなど果たす役割があるとして、代表権のない取締役としては社内に残留する。

 同社のアパートをめぐっては、天井の耐火性能が建築基準法の規定を満たさないといった不備が発覚。全棟調査を進める中で補修工事が必要な物件は広がり、補修工事関連の特別損失は547億円にまで膨らんだ。入居率も低下し、19年3月期の決算は690億円の赤字となった。

 発表に先行した「深山氏の社長退任」報道で、同社の株価は回復。5月10日の終値は前日比16円高、同7.77%の上昇だった。あるアナリストは「創業家のカラー払しょくを歓迎した動きだと思うが、取締役への留任で対外的なメッセージは弱まった」と解説する。

 深山氏は会見で、「私のことを創業家だという認識をしている人は社内にはいない」と話したが、額面通りには到底受け取れない。先のアナリストも「実際には間違いなく経営を取り仕切ると見るのが普通ではないか」と見る。

 深山氏は取締役には残留する。中途半端に切った社長辞任カードが、経営再建につながるかは不透明だ。

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