経団連会長に、住友化学の十倉雅和会長が緊急登板する。中西宏明会長(日立製作所会長)の病状が思わしくなく、「もしもの時は十倉さんが意中の方だった」(経団連幹部)。ただ、前年から万が一の人事をめぐって複数の候補者が俎上(そじょう)に載っては消えていた。経済政策で政権と難しいやり取りを迫られるポストで、とくに環境問題は業界ごとの利害対立をまとめる必要がある。6月の新体制には難路が待ち受けている。

体調不良で辞任する経団連の中西宏明会長(写真:共同通信)

 「きょうにも病院を出たいですよ」。中西会長は今年1月、オンラインの記者会見で笑顔を見せていた。リンパ腫の再発により2020年夏から入院していたが、同年末の検査では腫瘍が消えた。残り1年強の任期まで、続投の意を強めていた。

 それまで水面下では、万が一の人事交代に備えて準備が進んでいた。経済界から熱望の声が上がっていたのは、トヨタ自動車の豊田章男社長だった。豊田氏は日本自動車工業界の会長任期が22年5月まで。経団連の中西会長が任期満了というタイミングのため、病状が持ちこたえれば後任にという案だった。まず21年6月に経団連副会長に就いてもらい、仮に中西氏が途中交代ならそこでという可能性もあった。ところが同社は経団連の副会長企業から手を引いてしまった。

 一時は金融機関から会長就任という案も取り沙汰された。最終的な人事権をもつ中西会長はかねて、財閥企業以外が基本という慣例にはこだわっていない。当時の三菱UFJフィナンシャル・グループ、平野信行会長の名前も挙がった。ただ、それだと経団連の他の幹部企業は資金を借りている側となり、ガバナンスに不都合が出かねない。

 やはり産業界から後任会長を選ぶという路線に戻ったなか、いったんは中西会長が回復に向かっていた。今年に入って「このまま乗り切るしかない」(関係者)とのことだったが、ここにきてリンパ腫の再々発の可能性が出てきた。中西会長が経団連の久保田政一事務総長に電話をかけたのは4月13日。辞意を伝え、後継に指名したのは十倉氏だった。

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