
スズキは10日、2019年3月期の連結決算を発表した。売上高は3%増の3兆8714億円、新興国の通貨安などを受け営業利益は13%減の3243億円だった。
都内で開いた記者会見で、鈴木修会長は「とんでもないことをしでかしてしまった」と謝罪。同社は検査不正問題により、19年3月期は約800億円の特別損失を計上した。長年にわたってコスト削減を進めてきた会長の経営方針に問題はなかったのかとの問いに対し、鈴木会長は「トップとして重く責任を受け止めている」と話すのにとどめ、進退は明らかにしなかった。
国内事業が一連のリコール対応に迫られる中、スズキにとってそれ以上に懸念材料になりそうなのがインド市場の動向だ。インド子会社のマルチ・スズキのシェアは約5割とされ、スズキの売上高の3割はインド事業が占めるなど稼ぎ頭だ。
だが、インド国内の18年の新車販売台数は6%増の438万台(商用車を含む)。成長率は年々、下がっている。
こうした異変はスズキの決算にも表れている。「19年3月期で販売台数は過去最高を更新したが、19年1〜3月からインド市場が横ばい傾向にある」(スズキ)とし、鈴木俊宏社長は「台風などの影響もあったと思うが、期待したほど伸びていない。踊り場だ」と話す。マルチスズキの19年4月の販売台数は19%減の13万3704台。「インドの総選挙前の買い控えなど、一時的要因」(スズキ)とし今期の世界販売台数については0.4%増の334万台とするものの、総選挙後にどれだけ復調するかは不透明だ。
今後について、俊宏社長は「インド頼みであることは間違いないが、インドに次ぐ柱を作っていく。無いよりはあったほうがいい」と意気込む。検査不正という足かせに国内事業はとらわれるなか、インド市場の成長を総選挙などの特殊な要因を除いて示せるかどうか。正念場を迎えている。
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