マツモトキヨシホールディングス(HD)が5月10日発表した2019年3月期の連結決算は、売上高が5759億9100万円と2期連続過去最高、営業利益は360億2800万円と4期連続で過去最高を更新した。同社は、9月末までの最終契約締結を目指し、同業のココカラファインと資本業務提携の検討を始めたと4月末に発表したばかり。化粧品の売り上げ構成比が高い2社の提携で、新たなドラッグストア連合が誕生する見通しだ。

M&Aには高すぎる

 「ココカラファインに限らず、2014、15年ごろから(他社との提携を)検討していた」。マツキヨHDの松本清雄社長は決算会見でこう明かした。M&Aも検討したが「ドラッグ関係の企業は高値が付きすぎている」と指摘。「購買力を考えるなら資本業務提携でメリットが出せる」としてココカラファインに提携を打診したという。

2019年3月期決算を発表するマツモトキヨシHDの松本清雄社長(中央)
2019年3月期決算を発表するマツモトキヨシHDの松本清雄社長(中央)

 提携内容などは9月までに詰めるが、松本社長は「同じような業態なので、プライベートブランド(PB)商品の開発に一緒に取り組める」と期待する。「同じような」というのは商品構成を指している。売り上げに占める化粧品の構成比が、マツキヨHDは41.1%、ココカラファインは30.2%と他社に比べて高い点が共通しているのだ。

 マツキヨHDはシャンプーやトイレットペーパーなどの日用品から医薬品まで様々な種類のPBを展開するほか、資生堂などの化粧品メーカーとマツキヨ専用商品を開発し、独占販売している。マツキヨの1654店舗とココカラファインの1354店舗を合わせれば最大のドラッグストア連合になり、仕入れだけでなく開発面でもメーカーとの交渉力が増す。

 ドラッグストア業界はマツキヨHDやココカラファインのように化粧品を軸にする企業と、食品を安く売り、集客する手法で拡大してきた企業に特徴が分かれてきた。4月に関東に初進出した九州が地盤のコスモス薬品は食品の構成比が56%と、食品を軸とするドラッグストアの代表格だ。最大手のウエルシアホールディングス、2位のツルハホールディングスも食品が2割を超えている。マツキヨHDとココカラファインの提携は、ドラッグストアの特徴の二極化に拍車をかけそうだ。

■変更履歴
記事掲載当初、売上高、営業利益とも「4期連続で過去最高」としていましたが、売上高は2期連続、営業利益が4期連続の誤りでした。本文は修正済みです。 [2019/05/13 15:30]

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