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 日立製作所は2019年5月10日、22年3月期を最終年度とする新しい中期経営計画を発表した。「社会イノベーション事業でグローバルリーダーになる」と東原敏昭社長は意気込んだ。売上高に当たる売上収益を22年3月期まで年3%以上伸ばし、調整後営業利益率を22年3月期に10%以上にする数値目標を打ち出した。

新しい中期経営計画を発表した日立の東原敏昭社長

 「世界での競合相手はシーメンスだ」。かねてCFO(最高財務責任者)を務める西山光秋執行役専務が語るように、日立は独シーメンスをベンチマークに置く。

 シーメンスは電力・ガス、エネルギー管理、鉄道、ヘルスケアなどの事業を持ち、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」を事業の中核に据えるなど日立と類似する部分が多い。売上高で見れば、シーメンスが18年9月期に830億ユーロ(約10兆2200億円)に対し、日立は19年3月期に9兆4806億円。規模も互角だ。

 ところが時価総額では大きな差がある。日立が3兆5000億円規模なのに対し、シーメンスはその3倍の10兆5000億円程度で推移している。EBIT(支払い前・税引き前利益)は日立が前の期に5139億円で、シーメンスは同61億ユーロ(約7600億円)。収益力の差が時価総額に現れているともいえる。

 シーメンスは電力・ガス部門を20年9月に分離・上場させると5月8日に発表するなど、「脱・コングロマリット(複合企業)」で収益力に磨きをかける。日立もシーメンスに追い付くには、一段と稼ぐ力を高める必要がある。

 そうした中で、日立が示した新中計。営業利益率目標は10%。19年3月期から2ポイント伸ばす計算だ。

 この数年、「ルマーダ」と名付けたシステム構築事業に力を入れてきた日立。データを軸に商品やサービスの付加価値を高める戦略で、中でもルマーダと相乗効果が得られるエネルギーや鉄道など社会インフラ事業に経営資源を投入してきた。

 新しい中期経営計画の期間では「海外売上比率を60%超にする」と東原社長は話した。3年間累計で2兆5000億円超の営業キャッシュフローを生み出し、M&A(合併・買収)などに最大2兆5000億円(スイスABBのパワーグリッド事業の買収額約7000億円を含む)を投じる計画だ。弱点だった海外を伸ばしながら、シーメンス並みの利益率を達成できるか。就任後6年目を迎えた東原社長の挑戦が続く。

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