武田薬品工業にとって、1月に完了したアイルランドのシャイアー買収で抱えた巨額の有利子負債の削減は喫緊の課題(写真は、シャイアー買収完了発表時のクリストフ・ウェバー社長CEO)
武田薬品工業にとって、1月に完了したアイルランドのシャイアー買収で抱えた巨額の有利子負債の削減は喫緊の課題(写真は、シャイアー買収完了発表時のクリストフ・ウェバー社長CEO)

 武田薬品工業は2019年5月9日、アイルランドのシャイアー(Shire)買収後第1弾となる事業譲渡を契約したと発表した。譲渡するのはドライアイの兆候・症状治療用の点眼薬「シードラ(Xiidra)」と、手術時に組織の接着に用いる手術用パッチ剤「タコシール(TachoSil)」で、共に買収したシャイアーに由来する製品。シードラは最大53億ドルでスイスのノバルティス(Novartis)に、タコシールは4億ドルで米ジョンソン&ジョンソン(Johnson & Johnson)グループの手術器具企業であるエチコン(Ethicon)に売却する。

 1月8日にシャイアーの買収を完了した武田薬品にとって、買収で抱えた巨額の有利子負債の削減は喫緊の課題となっていた。また、買収完了後には、オンコロジー(ガンなど腫瘍の原因や治療に関して研究する学問分野)、消化器系疾患、ニューロサイエンス(神経科学)、希少疾病の4領域に、血漿(けっしょう)分画製剤、ワクチンを加えた疾患領域に特化する方針を示しており、戦略領域外の事業の行方が注目されていた。

 とりわけ今回ノバルティスに売却したシードラは、炎症に対する作用を持つドライアイ治療薬で、米国で2016年8月に発売されると従来なかったユニークな薬剤として売り上げを伸ばしていた。2018年には年間約3億8800万ドルを売り上げており、有力な売却候補と見られていた。

 シードラの売却に伴い、武田薬品はノバルティスから34億ドルの一時金を受け取るほかに、販売額に応じて最大19億ドルのマイルストーン収入を受け取る可能性がある。売却完了は2019年後半の予定で、主に米国とカナダを拠点とする約400人の従業員もノバルティスへ移籍する予定だ。

 また、タコシールも戦略領域外の製品であり、早くから売却を検討しているとのうわさが流れていた。タコシールの2017年4月から2018年3月末までの1年間の売上高は約1億5500万ドル。売却完了はやはり2019年後半の予定で、約80人の従業員もエチコンへ移籍する予定だが、オーストリアにあるタコシールの製造施設は引き続き武田薬品が保有するという。

 今回の発表は最大で100億ドルと表明していた武田薬品の資産売却の第一弾。資産売却の候補としては、戦略領域の消化器系用薬ではあるものの、独占禁止法の観点から候補に挙がるクローン病と潰瘍性大腸炎で臨床試験の最終段階実施中の「SHP647」のほか、眼科系領域での開発中品目なども残っている。中期的に純有利子負債/調整後EBITDA倍率を2倍以下にするという目標の実現に向け、武田薬品では引き続き事業ポートフォリオの見直しを進める。

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