シャープは最新スマホ「AQUOS R3」を発表した
シャープは最新スマホ「AQUOS R3」を発表した
R3は「Pro IGZO」を搭載した6.2インチの大型ディスプレー
R3は「Pro IGZO」を搭載した6.2インチの大型ディスプレー

 シャープが2019年5月8日、新しいスマートフォン「AQUOS R3」を発表した。高性能機種「R」シリーズの3代目に当たる。初夏以降の発売予定だ。

 特徴は、R2から搭載しているマルチレンズ設計だ。複数レンズ搭載のスマホは他社も手掛けているが、多くは種類の違う静止画用レンズを組み合わせ、写真撮影能力を強化するもの。シャープの場合は、「動画用」と「静止画用」のレンズを搭載し、動画を多く撮影する使い方を想定している。

 発表会でシャープが最初に紹介したのは、AIによる動画編集機能「AI Live Story」だった。撮影した動画を約15秒程度のダイジェスト動画に自動で編集する。通信事業本部の小林繁パーソナル通信事業部長は「脱、撮りっぱなしへ挑戦する」と宣言。撮影はしても再生されることが少ない動画の利用を促し、シャープのスマホだからできる撮影体験を広げたい考えだ。

 R3はレンズの全面刷新やディスプレーの高解像度化、発色能力の向上といったハード面での改善もあったが、シャープが最大のアピールポイントとして選んだのは動画のソフトウエアだった。背景には、以前にも増してハードウエアでの差異化が難しくなっている状況がある。

海外勢もFeliCa対応

 その最たる例が、海外メーカーによる非接触ICチップ「FeliCa(フェリカ)」搭載だ。「Suica」など、日本の主要な電子決済サービスに必要なFeliCaは、シャープなど日本発のスマホにしか搭載されていない時期が長かった。

 そんなFeliCa対応機種が海外メーカーのスマホにも搭載され始めた。米アップルのiPhoneには16年発売の「iPhone 7」から。Androidスマホでも、18年には米グーグルの「Pixel 3」「Pixel 3 XL」、中国OPPOの「R15 Pro」、台湾HTCの「HTC U12+」などが登場した。

 特に格安スマホとも呼ばれるMVNO(仮想移動体通信事業者)サービスでは、海外勢のスマホとの競争が激化している。MVNOを使う消費者は「コアなユーザーが多い。目が厳しく情報発信力もある」(小林部長)という。価格や性能だけでは差異化が難しくなっており、シャープとしてはRシリーズを「動画に強い」というコンセプトで売り出したい考えだ。

 シャープの業績としては、「事業者向けの販売台数の方が圧倒的に多い」(小林部長)ため、MVNOでの利用といった一般消費者向けの競争激化は影響しにくいかもしれない。とはいえ、iPhoneの高価格化もあってAndroidのシェアが増えつつあり、MVNOの回線数も2桁成長を続けている。一般消費者向けの需要を軽視はできない。

 競争が激しくなる中では、ハードとソフトを組み合わせた「シャープのスマホならではの使い方」を広められるかが、スマホ事業の今後を左右しそうだ。

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