オンキヨーホームエンターテイメントの祖業売却交渉が大詰めを迎えている。スピーカーやアンプなどの「ホームAV事業」をシャープなどに売却する方針で、5月20日までに正式契約を結ぶ計画だ。「ONKYO」ブランドは残るが、7月には上場も廃止する見込み。ここ1~2年は資金繰りの厳しさから工場の稼働も止めざるを得ないほど苦境に陥っていた。米アップルなどがワイヤレスイヤホンなどを相次ぎ投入して音楽市場をリードする一方で、かつての名門は変化に対応できなかった。

(写真:ユニフォトプレス)
(写真:ユニフォトプレス)

 国内オーディオの名門が苦境に立たされている。

 オンキヨーは4月30日、スピーカーやアンプなどの「ホームAV事業」を米音響機器大手のヴォックス・インターナショナルとシャープに売却する協議を進めていると発表した。5月20日までに売却額を確定し正式契約を結ぶ予定だ。同事業は連結売上高の過半を稼ぐ祖業で、対象となる人員は100人超。ホームAV事業の売却後はテレビや自動車向けのスピーカーのOEM(相手先ブランドによる生産)事業などに経営をシフトする。

 2社とも、知らぬ仲ではない。シャープとは2008年からマレーシアのオーディオ工場に合弁出資している。ヴォックスはスピーカーで有名な「Klipsch(クリプシュ)」ブランドなどを傘下に持つ老舗で、20年からオンキヨーのオーディオ製品の米国での販売を担っている。

 オンキヨーは21年3月期に2期連続の債務超過になる見込みだ。ファンドなどとの資金調達交渉を進めてきたが破談となり、7月末にも上場が廃止されることが確定的になった。てこ入れが急務となる中、3社は数時間のウェブ会議を何度も重ね、発表にこぎつけた。
 

「工場も動かせない」

 オンキヨーの足元の状況は厳しい。20年3月期の連結売上高は218億円と16年3月期に比べて7割減った。資金繰りの厳しさから「ここ1~2年は工場すら満足に動かせなかった」と、同社幹部は打ち明ける。支払いの遅延などで部品が調達できず、生産ラインを止める工場も出ていた。こうした状況に、マレーシアに合弁工場を持つシャープは危機感を募らせていたもようだ。

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