新型コロナウイルスが航空・鉄道大手の業績にもたらした数字が見えてきた。ANAホールディングス(HD)・日本航空(JAL)とJR東日本・東海・西日本は、4月30日までに2020年3月期の決算を発表し、1~3月はJR東海以外の4社が営業赤字に転落した。政府は緊急事態宣言を延長する方針であるうえ、稼ぎ時のはずの夏にどこまで利用者が戻るか不透明。「悪いシナリオ」を描く作業からまだ抜け出せない。

1~3月の決算は異例づくめとなった。JALは195億円の営業赤字で、12年に再上場して以来、初めての赤字だ。菊山英樹専務執行役員は「(リーマン・ショックなど)過去の事例から類推できないほどの打撃」と話す。
ANAHDは588億円の営業赤字で、四半期の赤字としては過去最悪だ。鉄道では、JR東が1987年に旧国鉄が民営化されてから初めての営業赤字(463億円)となった。唯一黒字となったのは収益性の高い東海道新幹線を持つJR東海だ。営業赤字となった4社は最終損益でも赤字だった。
交通インフラは3月に縮小ペースが強まり、ヒト・モノの流れが止まった。JALの国際線について、旅客数に輸送距離を掛け合わせて算出する「RPK」を見てみると、3月は運休が欧米などアジア以外の路線に広がったことなどで前年同月よりも7割程度減った。2月は1割減にとどまっていた。同社全体の3月の座席利用率は損益分岐点とされる5割を大幅に下回った。
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