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 国内大手物流会社の業績が拡大している。ヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングスと佐川急便を傘下に持つSGホールディングスの2019年3月期通期業績はともに増収増益だった。ヤマトが「人手不足」を理由に近年進めてきた宅配値上げを受け入れる顧客企業が増え、その動きが業界に波及した格好だ。

(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 ヤマトが4月26日に発表した19年3月期通期連結決算は、売上高にあたる営業収益が前の期に比べ5.6%増の1兆6253億1500万円、純利益が同40.9%増の256億8200万円。ドライバーの増員などで人件費が増加したが、それを補って余りあるのが宅配値上げに伴う単価上昇だ。ヤマトによると19年3月期の宅配の平均単価は、今年1月末時点の予想を2円上回る664円で着地したという。

 宅配業界最大手のヤマトの動きは他社にも“波及効果”を及ぼす。その1社がSGホールディングスだ。同社の19年3月期の連結営業収益が7.0%増の1兆1180億9400万円、連結純利益が同20.7%増の434億6500万円。平均単価が613円と前の期に比べて11.5%伸びたのに加え、荷物の取扱個数も約2%増加したという。

値上げ「だけ」では顧客は納得しない

 宅配現場の人手不足に伴う長時間労働の問題が表面化し、17年から荷受けを減らす「総量規制」を始めたヤマト。荷主との交渉の“武器”としたのが値上げだ。人手不足が物流業界全体の問題としてクローズアップされ、値上げをのむ顧客企業が増えている。だがヤマトの値上げにはそもそも、ネット通販の需要増を見越した体制構築が追いつかないまま拡大路線を歩み、それが結果として既存顧客の値上げにつながった面もある。

 また、傘下の「ヤマトホームコンビニエンス」による法人引っ越し料金の過大請求問題も決着していない。この問題が発覚したのは18年夏だが、ヤマトホールディングスは4月26日、商品の再設計や社員教育の徹底に時間を要するとして19年10月をめどに受注を再開すると明らかにしている。

 ヤマトホールディングスは20年3月期にも一段と宅配単価が上昇し671円になると予想する。加えてドライバーや夜間専門の配達員の拡充などを通じ、足元で減少していた宅配取扱個数も増やす方針。これにより連結業績予想は営業収益1兆6950億円、純利益400億円と増収増益を見込む。人手不足を背景とした値上げを自社の業績改善にとどめず、人手不足の緩和やサービス向上など本当の「効果」につなげられるか。値上げに応じた顧客企業はそこを見ているはずだ。

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