脳ドックサービスを手掛けるスマートスキャン(東京・中央)は4月28日、東京地方裁判所に対し、民事再生手続き開始の申し立てをしたと発表した。併せて、病院の経営支援などを手掛けるユカリア(東京・千代田)との間でスポンサー支援を締結。追加出資の道を探りつつ、事業継続を図っていく。

民事再生法適用を申請したスマートスキャンの「メディカルチェックスタジオ 新宿クリニック」。同日、同院は閉鎖を発表した
民事再生法適用を申請したスマートスキャンの「メディカルチェックスタジオ 新宿クリニック」。同日、同院は閉鎖を発表した

 スマートスキャンは申し立ての理由について「財務内容及び資金繰りの悪化を受け、民事再生手続きの中で事業運営を継続しながら事業の再建を図る」と説明。「裁判所及び監督委員の関与の下、当社事業の再生に全力を尽くして参る」とのコメントを出した。

 同社の申し立てを受け、東京地裁は弁済禁止などの保全命令や監督命令を発令。長島・大野・常松法律事務所の鐘ヶ江洋祐弁護士を監督委員に選任したという。

 オンラインで診断予約が完了し、待ち時間なく磁気共鳴画像装置(MRI)検査やコンピューター断層撮影装置(CT)検査を受けられる――。スマートスキャンが展開してきた主力事業「スマート脳ドック」は、2018年1月~23年3月までに累計11万6000人が受診。福利厚生として「スマート脳ドック」を導入する企業もある。

 「MRIによる脳ドックと肺のCTスキャン、両方で医院での滞在時間は30分だった。検診結果はスマホから見られるし、こんな体験は初めて」。都内会社員の40代男性はこう話す。

 スマートスキャンは17年、楽天(現楽天グループ)出身の濱野智章氏が設立したスタートアップ。インターネットやAI(人工知能)を活用し、非効率な検査体制が続く医療業界に一石を投じ続けてきた企業だ。テクノロジーを使った徹底的な効率化を進め、1回当たり1万7500円(税別)と比較的手ごろな価格設定などを売りにしてきた。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り800文字 / 全文1531文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「1分解説」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。