カプセルホテルを運営するファーストキャビン(東京・千代田)とその関連会社4社は4月24日、東京地裁に自己破産を申請した。負債総額は約37億円。

ファーストキャビンは、カプセルホテルでありながら高級感のあるしつらえと、手ごろな価格で顧客のニーズをつかんだ
ファーストキャビンは、カプセルホテルでありながら高級感のあるしつらえと、手ごろな価格で顧客のニーズをつかんだ

 同社は2019年末の時点で直営とフランチャイズ(FC)を合わせて約26店鋪を展開していたが、破産申請に伴い、直営の5店舗は閉鎖する。FC店舗はオーナーの判断により、継続する可能性もあるという。

 ここ数年、ホテル業界の競争激化で業績が悪化していた。そこに新型コロナウイルス感染拡大による需要急減が直撃し、事業継続が困難になった。ファーストキャビンが破産申請に至るまでの経緯を見ていくと、インバウンドや五輪特需にかろうじて支えられていたホテル業界の危うさが改めて浮き彫りになる。

五輪特需を当て込んで参入相次ぐ

 06年に設立した同社は、カプセルホテルでありながら高級感のある内装や設備で、国内の出張客だけでなくインバウンドの需要も取り込んで成長した。17年3月期の売上高は15億7900万円と、5年で約5倍に成長。事業拡大を積極的に進め、当時、本誌の取材に対して、18年3月期に売上高30億円超、20年に国内50店舗体制を目指すという意欲的な計画を示していた。

 だが、17~18年にかけて業界の潮目が変わった。旺盛なインバウンド需要や五輪特需を見込んだ宿泊施設の建設ラッシュが起こったからだ。大手ホテルチェーンだけでなく、異業種の中小企業や個人の土地所有者までもが、相次いでホテルや民泊の事業に参入した。

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