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 4月25日から27日にかけて、中国の首都北京で経済圏構想「一帯一路」の国際協力フォーラムが開かれ、150カ国以上の代表が集った。新華社通信によれば、このフォーラムの開催中、中国は640億ドル(約7兆1000億円)を超える規模のプロジェクトについて合意したという。さらに習近平国家主席は26日の基調講演で「150以上の国や組織が一帯一路に協力していくことで合意している」とも話し、構想の巨大さを改めて印象付けた。

27日、北京で開かれた「一帯一路」の国際協力フォーラムで会議に臨む各国首脳(写真:ユニフォトプレス)

 一方で、今回のフォーラムでは「持続可能な開発」とか「国際基準にのっとったプロジェクトの推進」といった文言があちこちで強調された。返済能力を上回るほど中国の投資に依存し、積み重なった対外債務で身動きが取れなくなり、ついには重要なインフラを中国に明け渡さざるを得なくなる国が出始めたからだ。一帯一路は「債務のわな」ではないかとの批判に配慮し、イメージの払しょくに努める姿勢が鮮明だった。

「持続可能を重視」とアピール

 基調講演で習主席は「全てのプロジェクトは商業的にも財政的にも持続可能でなければならない」、「我々は(プロジェクトの推進において)国際的なルールとスタンダードを受け入れていく」と表明している。27日に発表された、37カ国の首脳らによる会議で採択された共同声明でも「我々は全ての次元で持続可能性を重視する」といった表現が重ねて用いられている。さらに中国財政部は25日、世界銀行とIMF(国際通貨基金)の手法を参考に、一帯一路沿線国の債務の持続可能性について分析する枠組みを発表した。

 実際、一帯一路の沿線国では「債務のわな」を警戒し、中国との間で進んでいたインフラプロジェクトの見直しに動く国も出始めた。昨年首相に就任したマレーシアのマハティール氏は、マレー半島の東海岸で建設が予定される高速鉄道のプロジェクトに対し「コストが高く、国の財政に与える影響が深刻」だとして計画を中止すると発表。その一方、水面下で中国と再交渉に入り、譲歩を引き出したうえでプロジェクトを再開させることに成功した。建設費を3分の1ほど削減し、マレーシア国内企業の参加率を全体の3割から4割に引き上げた。

 マレーシアの交渉見直しは他の沿線国にも影響を与える可能性がある。たとえばインドネシアの閣僚経験者は「2014年から2018年の間に中国向け債務が50億ドルも増えた」と警戒感をあらわにし「我々もマレーシアのようにプロジェクトについて中国と再交渉する必要がある。声を上げないといけない」と話している。

日本と中国、現地では「バンカブル」の基準が異なる

 対外債務の持続可能性やプロジェクトの透明性についての関心の高まりは、日本への追い風にもなる。