東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランド(OLC)は4月25日、2019年3月期の決算を発表した。売上高は5256億円、営業利益は1292億円と過去最高を更新した。18年度の入園者数は前期比8%増の3255万人と、こちらも過去最多となった。18年4月~19年3月まで実施した一連の35周年イベントなどが貢献した。

 オリエンタルランドの目下の課題の一つは、混雑緩和だろう。2013年度以降、来園者数は毎年3000万人を超えている。今後約750億円を投資して、20年春をめどに、東京ディズニーランドに大型アトラクションや新施設を導入する。また、2500億円を投資し東京ディズニーシーを拡張する計画だ。

 だが、それまでは運営面でカバーせざるを得ない。OLCは18年夏に公式アプリを開始した。アプリ経由で、待ち時間のリアルタイム確認や、園内グッズの購入などを可能にした。また同年3月より、年間パスポートを2000円~4000円値下げしたうえで、お盆や年末など混雑が予想される日を中心に年間パスポートを使用できない日を設定した。今年の5月からは、東京ディズニーランドのメインエントランスに年間パスポートの所有者を対象に顔認証システムを導入し、スムーズな入園をできるようにする。ファストパスも今夏からはアプリで取得できるようになるという。

 OLCはまだ導入していないが、混雑緩和の有効な手段となりそうなのが、変動価格制の導入だ。一律の入園料ではなく、お盆やクリスマスなど繁忙期は高く、平日などの閑散期は低く設定する方法だ。閑散期の料金を低く設定することで、繁忙期からの人の流れを促進し、混雑緩和に役立てる。海外のテーマパークでは一般的だが、日本国内では導入が進んでいなかった。今年1月にユー・エス・ジェイが国内大手テーマパークでは初めて、入場料金に変動価格制を導入した。OLCの横田明宜取締役常務執行役員は決算会見の場で、「それ(変動価格制)だけでなく、混雑緩和のための様々な方法を検討している」と話し、明言は避けた。2020年度を最終年度とする中期経営計画では、「快適さを提供するハードの強化」を掲げている。抜本的な解決も必要になる。

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