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HAPSモバイル社長を務めるソフトバンクの宮川潤一副社長

 ソフトバンクは4月25日、無線基地局の代わりになる無人航空機を成層圏に飛ばして広範囲の携帯電話ネットワークを構築・運営する事業を、2023年にも始めると発表した。新興国や山岳部など通信インフラが整っていない地域からでも、スマートフォン(スマホ)で通信できるようになるという。同事業にソフトバンクが進出する狙いを宮川潤一副社長に聞いた。

成層圏通信事業に進出しようと考えたきっかけはなんですか。

 2011年の東日本大震災後、災害に影響されない上空にある無線基地局の必要性を痛感したのがそもそもの始まりです。実は5年ほど前にも具体的に事業化を検討していました。ただ当時のテクノロジーでは、成層圏に長期間滞空して通信サービスを24時間提供できる機材を開発するのは困難でした。それが近年、バッテリーや太陽光パネルの性能が大きく向上し、事業の実現可能性が高まってきたわけです。

 昔から(ソフトバンクグループ会長兼社長の)孫(正義)さんに「勝算が70%くらいあれば、リスクを取って勝負すべきだ」と教わってきました。

傘下で成層圏通信事業を担う「HAPSモバイル」を通じて、同様の事業を手がける米グーグルの兄弟会社「ルーン」と協業します。

 ルーンと接触したのは18年11月のことです。最初は情報交換が目的でしたが、この事業にかけるビジョンが一致し、意気投合して提携関係を結ぶに至りました。そのビジョンとは「通信やインターネットをなりわいとする会社が、人類の半数がインターネットに接続できていない状況を放置していいはずがない」という思いです。

 ルーンのサービスは、バルーン型の基地局を大量に浮かばせてスマホなどのデバイスと通信させる仕組み。HAPSモバイルが飛ばす無人航空機と成層圏で相互に連携させ、補完し合うことになります。地上側にも通信設備が必要ですが、こちらの運営はHAPSモバイルが引き受けます。

あえて競合企業と手を組んだ狙いは何ですか。

 HAPSモバイル1社で粛々と事業をやるよりも、スピード感を持って市場を拡大させたかったからです。成層圏通信の市場開拓はまだこれから。初期から強豪とぶつかり合って体力を消耗させるよりも、「強い2社」で組んだほうが市場を素早く広げられるはずです。この事業の顧客はアフリカや東南アジア、南米といった地域の通信会社です。そうした企業の多くを巻き込んで企業連合を作り、早期に市場を立ち上げたいですね。

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