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 2020年東京五輪・パラリンピックの選手村の整備が進む東京都中央区の晴海エリア。大会終了後に、選手村を改築して分譲するマンション群「HARUMI FLAG」のモデルルームが4月27日から一般に公開される。三井不動産レジデンシャルなど11社は7月下旬から販売を始める予定で、価格帯は5000万円台~1億円以上となる見通しだ。

モデルルームには、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)といった最新技術を導入。実際に暮らしているかのような体験ができる

 “HARUMI FLAG”は約13ヘクタールの敷地に、4145戸の分譲マンションを供給する計画。商業施設や保育施設、小中学校なども併せて整備する予定だ。選手村として使った後に工事を再開して完成させる中層マンション17棟は23年3月から、五輪後に建設する2棟のタワーマンションは24年9月からの入居の予定だ。

 この分譲計画を巡っては、「相場よりも低価格で販売され、東京湾岸エリアのマンション市場に水を差す」との懸念も当初はあった。ただ、供給の中心が専有面積85平米の3LDKの住戸だということが明らかになるにつれて、こうした業界内の心配は払拭されつつある。専有面積が都心平均を10平米以上も上回るため、「平米単価が割安でも面積が広いので、物件価格としては同程度になる。マイナスの影響はないだろう」(大手デベロッパー中堅社員)というわけだ。

 “HARUMI FLAG”についても、「部屋の広さは、投資ではなく実際に住みたい実需層にとって魅力的。順調に販売できるのではないか」と分析する。

 ただ、先行きに不安がないわけではない。実需層が主なターゲットとなった場合には、契約から入居までの期間の長さがネックになり得る。

 仮に7月下旬の販売開始時点で契約した場合には、入居まで3年半かかる。新築タワーマンションのケースと比べても1年近くも長い。子育て世帯であれば、出産や子どもの進学といったライフイベントとの兼ね合いも悩ましいところだ。

 また、交通利便性でも不安を抱える。バス高速輸送システム(BRT)で都心とを結ぶ予定だが、地下鉄などに比べて輸送力は劣る。

 モデルルームの見学は現時点で約1万5000件の応募があり、6月中旬まで予約が埋まっている。報道各社が大きく取り上げていることもあって、7月下旬からの1期目の販売は好スタートが切れそうだが、話題性が薄れてもなお実需層の心をつかめるか。真価が問われるのは秋以降になりそうだ。

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