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 国内の大手生保各社が不動産への投資を積極化させている。日銀の超低金利政策の長期化で国債中心の運用が行き詰まる中、ここ数年は利回りを確保するために外債や国内外の株式にウエートを置いてきた。しかし、世界経済の減速懸念を受けて、今後も同程度の利回りを見込むのは難しくなっている。そこで収益性の高い投資先として資金を振り向けているのが不動産だ。このたび発表された2019年度の運用方針でもその傾向が鮮明となっている。

 3月に東京・虎ノ門の再開発案件(2023年竣工予定)に600億円を投じることを発表した第一生命保険は22日、今年度も不動産投資の残高を積み増す方針を発表した。運用資産約35兆円(18年12月末)のうち、約1兆1000億円ある不動産の配分を高めていく。住友生命保険も、マイナス金利導入後に積極化してきた新規の物件取得や建て替えを続ける考えだ。

海外投資積極化の動きも

 18年12月に、国際赤坂ビル(東京都港区)の持ち分50%を400億円で取得した日本生命保険も、オフィスや物流施設を中心に国内不動産への投資を継続する。同社の国内不動産への投資残高は1兆円となった。ただ「国内は都心部中心に価格が高くなりつつある。今後は海外も積極的にやっていきたい」と、岡本慎一・財務企画部長は話す。欧州拠点の強化など、グローバルな運用体制を充実させて海外案件に対する「目利き力」を磨く意向も明らかにした。

18年8月に竣工した日本生命浜松町クレアタワー(写真右)は、日本生命が1000億円かけて開発したオフィス・商業ビルだ(写真:PIXTA)

 利回りを求めて海外へと触手を伸ばす生保マネーの動きは、バブル絶頂期に海外不動産に買収攻勢をかけて「ザ・セイホ」の異名を取った過去をほうふつとさせる。

 生命保険協会が定期的に公表している生保41社合計の資産運用状況によると、18年度は不動産の運用残高が4年ぶりに増加に転じる見込みだ。足元のオフィス空室率は低水準が続いており、市況は好調だ。安定的に約3%の利回りを見込めるだけに、投資妙味はある。

 だが、高値に対する警戒感も強い上、2020年の東京オリンピック・パラリンピック後の市況の冷え込みも予想されることから、リスクも高い。何より「不動産は売りたいときに売れない流動性リスクの高い資産。長期安定運用を柱とする生保は、急な市況変動に耐えられる額にとどめておくべきだ」(不動産関係者)との声もある。

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