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 新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が強く求められる中、1990年代のバブル期にブームとなったある娯楽施設が脚光を浴びている。車に乗ったまま映画を鑑賞する「ドライブインシアター」だ。駐車場など野外に設置された巨大スクリーンの前にクルマを止め、カーオーディオを通じ車内に音声を出す仕組み。基本的に車内にいるため、不特定多数の人との接触を避けることができる。

 シアターイベント「Do it Theater」などを手掛けるハッチ(東京・目黒)はドライブインシアター運営のためのクラウドファンディングを4月10日に開始した。集めた資金は映画上映に必要な機材や人件費に充てるほか、感染拡大を防止する啓蒙活動や国際機関への寄付を計画する。すでに映画プロデューサーの伊藤主税氏や人気お笑いコンビの爆笑問題などが賛同者として集まった。

 山梨県甲斐市のショッピングモールでは4月4日と5日、屋上の駐車場でドライブインシアターを開催した。欧米などでも、プロスポーツの試合が開催できず空いたままのスタジアムの駐車場を開放し、ドライブインシアターとして活用する動きもある。

 ドライブインシアターは米国で1960年代に流行し、日本でも90年代にデートスポットとして全国各地に広がった。だがレンタルビデオやシネコンの普及で徐々に下火に。代表的な存在だった「ドライブインシアター大磯」(神奈川県大磯町)が2010年に閉鎖され、国内では常設されているドライブインシアターはほぼ姿を消していた。

 それが改めて脚光を浴びているのは、新型コロナの感染リスクの低い新たな娯楽スタイルとなる可能性があるためだ。外出自粛により、足元では家庭で動画コンテンツを楽しむ消費者が増えているが、ドライブインシアターは映画鑑賞だけでなくコロナ禍の閉塞感を忘れられる空間としての役割も期待できる。

 開催場所に観客が集まる必要があるため、不要不急の外出を自粛してほしいという政府や自治体の方針に相反する面もある。車内はいいとしても、例えばトイレや店舗などに人が密集するリスクもあるため、感染対策も欠かせない。

 ドライブインシアターは、長期的に見ればクルマの進化ともつながってくる可能性もある。自動運転技術が実用段階に入ればクルマの価値は「移動」から「空間を楽しむ」ことへと変わり、オーディオなどの価値が相対的に高まるとみられている。ドライブインシアターでもこれまで以上に臨場感が生み出せるなど、相乗効果が期待できるかもしれない。

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