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 ビール大手各社が、価格の安い第三のビールや発泡酒に押されて低迷を続けるビールの「復権」を目指し、主力ブランドのリニューアルや新商品の投入に本腰を入れ始めた。

 キリンビールは4月上旬、主力ブランド「一番搾り」のリニューアル商品を市場投入。4月22日に、リニューアルの詳細と新しいテレビCMを発表する記者会見を実施した。

 マーケティング部部長の田山智広マスターブリュワーは、「ホップの配合や細かい製法の見直しを積み重ね、飲みやすく、飽きない味を実現した。いわゆる“ビール臭さ”も抑えられ、ビールを敬遠しがちな若い層にも受け入れられる商品に仕上がった」と自信を見せる。キリンは、リニューアルした「一番搾り」を過去最大規模のテレビCMを投入して拡販する。

キリンビールは、4月上旬にリニューアルした「一番搾り」を過去最大規模のテレビCMを投入して拡販する。布施孝之社長(左から3人目)は、「ビール市場を拡大したい」と意気込む

 「一番搾り」は、1990年の発売以来、11回目のリニューアルとなる。3~4年おきが通例だったが、今回は前回の2017年秋から1年半という短期間でのリニューアルだった。香味設計で技術的な進展があったためでもあるが、もっと大きい理由がほかにある。酒税法の改正によって、ビール、発泡酒、第三のビールの税率が、26年に向けて段階的に一本化されるのだ。

 現在、350ミリリットル当たり、ビールは77円、発泡酒は46.99円、第三のビールは28円の酒税が課されている。これが店頭価格の差になって表れているわけだが、20年10月にはビールが70円に引き下げられ、逆に第三のビールは37.8円に上がる。23年10月にはビールが63.35円、発泡酒と第三のビールが46.99円になり、26年10月には現在3つあるビールカテゴリーの税額が、54.25円で統一される。

 「ビールの原価は第三のビールと比べて350ミリリットル缶で、20~30円ほど高い」(ビール大手幹部)とされるため、店頭価格まで一本化されるわけではないが、価格がネックとなり苦戦が続いてきたビールにとっては、確実に追い風となる。顧客がビールに回帰してきた時に、“勝てる”ブランドでなければならない。キリンビールの布施孝之社長は、「税率改定を控え、ビール市場はまさに変革期。長期的な視点に立って、一番搾りブランドの刷新に踏み切った」と話す。一番搾りは19年12月期に、前年比4.1%増の3080万ケースの販売を目指す。

 こうした動きに対し、ビールのトップブランド「スーパードライ」を擁するアサヒビールも黙してはいない。

 4月9日には、若者をターゲットにしたビール「アサヒスーパードライ ザ・クール」を発売。スーパードライのブランドイメージの刷新を目指す。販売ルートを若者に人気の飲食店に限定。ビールを普段飲まない層にも受け入れられやすいさっぱりした飲み口で、グラスを使わず小瓶をそのまま提供する。塩澤賢一社長は、「『スーパードライ』ブランドの若返りを図りたい」と意気込む。