新型コロナウイルスの感染の広がりは産業界の勢力図に異変をもたらしそうだ。建設機械世界2位コマツは海外で複数の工場が止まり、業績へのマイナス影響が避けられない。最大手の米キャタピラーは金融機関に異例の融資枠要請をした。世界2トップの混乱を横目に、競争力を増すとみられるのが中国建機最大手の三一重工だ。「コロナ後」の地殻変動を見据えたレースが始まっている。

三一重工のブランドは「SANY」。中国内で3割近いシェアを持つ(写真:ロイター=共同)
三一重工のブランドは「SANY」。中国内で3割近いシェアを持つ(写真:ロイター=共同)

 新型コロナによる都市封鎖に伴い、コマツはブラジルやロシア、イタリアやドイツなど各地で生産を停止した。顧客の建機の稼働を遠隔監視できる同社のITシステム「コムトラックス」では、3月の建機の1台あたり平均稼働時間が欧州は前年同月比6%減、北米が11%減となった。

 国内では4月に入って大手ゼネコンが工事中止を決めた。今後、土木工事の量が減り、国内の建機稼働時間も減る可能性がある。修繕や部品交換などアフターサービス、新規販売への悪影響が出そうだ。

 業績の先行きが不透明になり、20年3月期の連結決算発表を4月30日から5月18日に延期。工場停止による機会損失、景気落ち込みによる販売減に加え、アフターサービスの利益も減りそうだ。これまでに建機を購入した顧客の返済が滞れば、貸倒損失が増える可能性もある。

 「30億ドルを手当てしたい」。4月初旬、米キャタピラーは新たな融資枠を金融機関に要請した。19年末時点の現金は日本円に換算すると約9000億円で、1兆円以上の信用枠も持つ。それでも販売急減によるキャッシュ不足を補うほか、販売代理店の運営資金が目減りする事態に備えるようだ。キャタピラーも北米の工場の操業を一部止めている。2月の建機販売は前年同月から大幅に減り、3月以降も一段と悪化しているもようで、3月26日には業績見通しを撤回した。

 世界シェアがそれぞれ10%強のキャタピラーとコマツが混乱の渦中にあるなか、当局が新型コロナを「基本的に抑え込んだ」とする中国では、徐々にではあるが経済活動が再開し、建機工場が再稼働して受注も戻ってきた。好機を迎えようとしているのが中国建機最大手の三一重工だ。「SANY」ブランドで知られ、世界シェアでも約5%、7位に付けている。

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