「3月のサービス申し込みの数は2月の2倍だった。4月はさらに倍増の勢い」。こう話すのは中古車販売大手、IDOM(旧ガリバーインターナショナル)の山畑直樹NOREL事業部マネージャーだ。1カ月単位で車を貸し出すサービス「マイカー・トライアル」への問い合わせが増えている。料金は月2万9800円からで、2~3月の申し込み数は1500~2000件だったが、4月に入ってからの20日間で1500件ほどの問い合わせが入っている。

IDOMの新サービスは緊急事態宣言が出された4月7日前後から需要が急増
IDOMの新サービスは緊急事態宣言が出された4月7日前後から需要が急増

 同社の主力は販売事業で、カーリース「NOREL(ノレル)」は3カ月以上の利用が必要だった。2月にスタートしたマイカー・トライアルはこの期間を1カ月単位に区切り、利用のハードルを大きく下げた。これが、新型コロナの感染拡大に伴って、安全に移動したいというニーズにピタリとはまった。

 IDOMへの問い合わせのうち7割は女性だという。医療機関への通勤、少し遠くへ足を延ばす買い物もある。「出産まで通院に使いたい」という妊婦もいる。

 申し込みは、4月7日に緊急事態宣言が出された前後から急増し、対象となった東京など7都府県エリアが中心だ。提供できる台数が限られているため、エリアによっては申し込みの全てには応えられない状況という。IDOMは直近で中古車の在庫を3万台ほど持っている。マイカー・トライアルの需要が大きいことから、この在庫を貸し出しに積極的に振り向けていきたいとする。

 切迫したニーズについては急きょ、マイカー・トライアルとは別に、全国1万人への無償提供を決めた。直近の申し込みの4割を占める医療従事者らが対象だ。4月15日に受け付けを始めると、1日で枠が埋まった。「モビリティーを提供する会社として何をすべきか考えた」と山畑氏は語る。

 車を使うなら、半日や1日の単位で借りられるレンタカー、もっと細かい時間単位で共有しあえるカーシェアリングのサービスもあり、ニッポンレンタカーサービスやオリックス自動車などが手掛けている。ただ、各社とも、数字は明らかにしないが「利用は大きく落ち込んでいる」と口をそろえる。観光や出張といった需要が蒸発したという理由はあるが、それだけではない。

 IDOMの山畑氏は「レンタカーやカーシェアリングは短期間で不特定多数の人が同じ車を利用するため、感染するリスクを心配する人が少なくないのではないか」とみている。あるカーシェアサービスでは通常、1週間から10日に1度、スタッフが清掃している。いまは新型コロナ対策で、車内に消毒液も配置し、利用者自身で消毒できる。ただ、消費者からは、自分だけが1カ月使い続けられる車のほうが安心だという声がある。

 IDOMでは中古車の納車時と同様、マイカー・トライアルでも店舗で車内外をクリーニングしてから引き渡している。返却された車を次の利用者に引き渡す際も同様だ。

 人が密集する場所を避けて、社会的距離を取るという意味では、公共交通機関より車のほうが理にかなっている。わずかでも需要を喚起したいという動きは他社にも広がり、パーク24は3月、レンタカーやカーシェアで大幅な値下げを打ち出した。

 レンタカーでは、17時から翌朝10時までの「ナイトプラン」を新設し、一律1980円とした。12時間で5000円を超える通常プランと比較すると破格の料金だ。カーシェアでは18時から翌朝9時まで利用できる「ナイトパック」(2640~5280円)を一律500円にした。

 車の貸し出しサービスは、外出自粛というマイナスの影響を受ける一方、公共交通機関よりも感染リスクが低いというプラスの要素もある。事業者にとっては生き残りをかけ、利用者をどうつなぎとめるか知恵が問われる局面だ。

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12/15ウェビナー開催、「外食を救うのは誰か」第1回――すかいらーく創業者の横川氏が登壇

 新型コロナウイルスの感染拡大から3年目となり、外食店に客足が戻りつつあります。一方、大手チェーンが相次ぎ店舗閉鎖を決定するなど、外食産業の苦境に終わりは見えません。どうすれば活気を取り戻せるのか、幅広い取材を通じて課題を解剖したのが、書籍『外食を救うのは誰か』です。
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■テーマ:「安売りが外食苦境の根源だ」ファミレスをつくった男が激白
■講師:横川竟氏(すかいらーく創業者、高倉町珈琲会長)、神山泉氏(外食経営雑誌『フードビズ』主幹)
■モデレーター:鷲尾龍一(日経ビジネス記者)
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