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 米製薬大手メルクの日本法人MSDは4月19日、年次事業説明会を開き、今後の開発戦略について説明した。注目を集めたのが、がん治療薬の「キイトルーダ」の適応症を増やすための研究開発。キイトルーダは、小野薬品工業が販売する「オプジーボ」と同じ抗PD-1抗体で、悪性黒色腫などのがんで用いられる。薬価下げでビジネス環境が悪化する中、使用できるがんの種類を増やしてシェア拡大を狙う。

MSDのヤニー・ウェストハイゼン社長は「キイトルーダは当社の成長を大きく支えている」と期待を寄せる。

 抗PD-1抗体は、がん細胞が身体の免疫を回避する仕組みを抑えて効果を発揮する抗体医薬品だ。2014年に小野薬品工業が開発し、効果が高いことから「画期的な新薬」と注目を浴びた。オプジーボの保険適用は当初、悪性黒色腫のみだったが、その後、非小細胞肺がん、腎細胞がんなどに拡大。このため医療費負担への懸念が指摘されるようになり、薬価が引き下げられた。

 17年発売のキイトルーダも同様に、悪性黒色腫、非小細胞肺がんなど使用できる疾患を広げていたため、オプジーボと前後して値段が下げられている。売り上げを維持するため、両社は適応症を追加してシェアを広げる戦略を進めている。MSDのヤニー・ウェストハイゼン社長は「薬価が今後どれだけ下がるかは不透明。今後も適応症を増やしたい」と語る。

 キイトルーダは、販路の広さなどを強みに海外では売上高でオプジーボを上回る。だが、国内ではまだオプジーボが優勢とされる。背景には、使用できるがんの種類の多さがある。現在オプジーボは国内で7種類のがんに使用できるが、キイトルーダは5種類にとどまる。

 しかし海外に目を向けるとキイトルーダの適応症は多く、米国では11種類のがんに使用できる。MSDが国内で承認を目指しているがんは大腸がんや胃がんなど10種類以上。ウェストハイゼン社長は「多くのがん種に対応するため、継続的に研究開発に力を入れていく」と説明する。国内での成長を続けるために、まずは適応症の数における日米間の差を埋めることが必要と言えそうだ。

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