
「私の記憶の限り最大の最終赤字。一義的な責任はCEO(最高経営責任者)だった瀬戸さんにある。ただ、任命したのは、当時、指名委員会のメンバーで取締役会議長だった私の責任。瀬戸さんを招いたのは、取締役を続けてきた38年間で最大の失敗だった」
LIXILグループの潮田洋一郎会長兼CEO(最高経営責任者)は4月18日、緊急記者会見でそう語り、5月20日に取締役から辞任すると表明した。同日、LIXILは2019年3月期の通期業績が530億円の最終赤字に転落すると発表。イタリアの建材子会社ペルマスティリーザが500億円を超える損失を計上するためで、潮田氏はその責任は昨年10月末にCEOから退任した瀬戸欣哉氏にあると強調した。そして、自らは瀬戸氏を任命した責任をとって辞任するという。
記者会見で潮田氏は、瀬戸氏の経営手腕をこき下ろした。
「今回の大きな赤字は前任者(瀬戸氏)の3年間の経営がもたらしたもの」
「ペルマの立て直し策を瀬戸さんは講じてこなかった」
「取締役会でせめて詳しい報告をしてくれるものと信じていたが、説明はなかった」
「瀬戸さんはこの産業はもうからないと言うが、同業は2ケタの利益を上げている」
「宝石と呼ばれた会社を石ころにしてしまった。経営の策がなかった」
「(瀬戸氏は)定時株主総会で自らCEOへの復帰を目指して、株主提案をする。しかし、この赤字を招いた責任をどう思うのか、いぶかしく感じる」
これに対し、瀬戸氏は緊急で一部メディアを集めた記者会見を実施。真っ向から反論した。

「今回の損失の90%以上は、私が(LIXILに)来る前の2015年以前に無理して取ったプロジェクトがうまくいかなくなった結果」
「私が来て1年目で売却の交渉が始まって、限界はあったがかなりコントロールして損害を減らした」
「プロジェクトビジネスは今回のようにアルミの高騰などがあると、大きな損失を出しやすいのが問題点」
「取締役会にも、(長い時間をかけて議論する)取締役討議会にも、直接、潮田さんにも何度も説明している。記憶にないというのはあり得ない」
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