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 17日、インドネシアで5年に1度の大統領選が実施された。複数の開票調査機関の速報によれば、再選を目指す現職のジョコ・ウィドド氏が過半の票を集めたようだ。だが得票率は50%台半ばで、一騎打ちとなった元国軍幹部のプラボウォ・スビアント氏との差は平均して10%に満たない。同日夜、ジョコ氏は「国として一つになろう」と、歯切れは悪いが事実上の勝利宣言とも取れる声明を出した。だが、その数時間前にはプラボウォ陣営も同じように「勝利宣言」をしている。

17日夜、速報結果を受けて声明を発表するジョコ氏(写真:AP/アフロ)

 この成り行きには既視感がある。前回、2014年の大統領選挙でも同様に、対立する候補者がそれぞれ勝利宣言するという珍事が起きている。ジョコ氏とプラボウォ氏による一騎打ちという構図も同じだ。選挙管理委員会が後日発表した正式な投票結果によりジョコ氏の当選が決まったが、両者の得票差は約6%程度で接戦だった。

 今回の大統領選は、改革路線を掲げるジョコ氏が国民にこれまでの成果を問う選挙だった。それが前回と同じような経過をたどっているのはなぜだろうか。多くの調査機関の結果を見ればジョコ氏の勝利は明らかだが、それにしてもなぜ今回も接戦となったのか。なぜジョコ氏は大差をつけての勝利を手にすることができなかったのか。

ジョコ政権、我慢の5年

 17日の夜、首都ジャカルタの中心部にあるジョコ陣営の選挙会場から姿を表したジョコ氏を支援者は熱狂的に迎えた。既に速報は出ており、事実上の勝利宣言も出ている。詰め掛けた支持者は興奮気味にジョコ氏の乗った車を取り囲み「ジョコウィ(ジョコ氏の通称)!ジョコウィ!」と口々に叫んだ。

 もっとも、全ての支持者がジョコ氏の勝利を手放しで歓迎しているわけではない。「これまでの5年は我慢の時期。インドネシアは汚職がまん延していたから、経済成長にかけるためのお金が足りていない。だからジョコさんの改革が成功するには5年以上は必要でしょう」。ジャカルタ市内の投票所でジョコ氏に一票を投じた64歳の女性支持者は言う。