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 4月16日開幕した世界最大級の自動車展示会、上海国際自動車ショー。世界的に新車販売が低迷するなか、中国市場は2018年に28年ぶりの前年割れとなった。それでも年間の販売台数は約2800万台と世界最大の規模を誇る。売れ筋の多目的スポーツ車(SUV)や環境規制をにらんでの電気自動車(EV)に注力した各社の展示からは、中国市場に頼らざるを得ない状況がうかがえる。

 「35年前に成功への道を歩み始めた上海の地はフォルクスワーゲン(VW)にとってホームと呼べる存在だ」。プレスカンファレンスに臨んだドイツVWのヘルベルト・ディース社長はスピーチの冒頭で中国市場についてこう述べた。今回の上海ショーに合わせてEVの世界戦略車「ID」シリーズの大型SUV「ID.ROOMZZ(ルームズ)」を世界で初公開。SUVは中国での売れ筋ということもあって、VWはルームズを21年にまず中国で発売する方針だ。

フォルクスワーゲンの大型SUV「ID.ROOMZZ」(写真:ロイター/アフロ)

 生産・輸入台数の一定比率をプラグインハイブリッド車(PHV)やEVとすることを求める、中国の新エネルギー車(NEV)規制が19年に始まったことを受け、VWは28年までに世界で2200万台のEVを販売する計画のうち、中国で1160万台を生産するとしている。「中国はすでに電動化で世界をリードする存在」(ディース社長)と位置付ける。

 18年実績でVW、ルノー・日産自動車・三菱自動車の3社連合に次いで世界3位の販売台数を誇るトヨタ自動車は、高級車ブランド「レクサス」で初となるミニバン「LM」を世界初公開。4人乗りで車内には26インチのディスプレーや冷蔵庫を備える。運転手付きの車に乗る中国やアジア諸国の富裕層を対象に、後部座席での快適性を徹底して追求した車種だ。この他、トヨタはトヨタブランドとして初めてとなるEV2車種も新たに公開し、NEV規制への対応もにらむ。

 ホンダも湖北省武漢市の東風本田汽車で生産する予定の新型EV「X-NVコンセプト」を公開。12日に竣工した東風本田の新工場では電動車を生産するスペースを設けており、20年にもPHVの生産を始める見通しだ。

 SBI証券の遠藤功治アナリストは、「今年は世界の主要な自動車市場、中国、米国、日本、欧州の全てで販売は下がる」との見方を示す。とはいえ、中期的に成長余力を残しているのは中国だ。調査会社IHSマークイットは、2025年にかけて日米欧の新車販売が横ばい、もしくは減少するのに対し、中国市場は年3000万台を超える規模に成長すると予測する。

 世界の自動車メーカー各社が「中国ファースト」とも呼べるほど注力している背景には、足元こそ販売が減速しているが、中国市場には潜在的な成長余力がまだまだ残されているとみているからに他ならない。

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