新型コロナウイルスまん延による緊急事態宣言が発出されて以降、厳しい経営にさらされている飲食店。こうした飲食店を少しでも支援しようと始まった、一風変わったボランティア活動が広がりを見せ始めている。

 4月13日に開設されたばかりのEC(電子商取引)サイト「ONLINE PARTY MARKET」には飲食店がずらりと並んでいるが、販売しているのはテークアウト用のフードでもなければ、デリバリー用のフードでもない。

 ONLINE PARTY MARKETが販売するのは各飲食店が用意した「画像データ」だ。4月17日時点で掲載されている飲食店数は85店舗。店内写真を販売している飲食店もあれば、フードの写真やロゴデータを販売している飲食店もある。販売価格はすべて1点500円だ。

 外出の自粛が求められている学生や会社員の間では、ビデオ会議ツール「Zoom」などを使って自宅から参加するオンライン飲み会が一部で広がっている。こうしたツールでは映像配信する際、背景を差し替える機能を搭載していることが多く、好みの画像を背景にする利用者が増えている。ONLINE PARTY MARKETでは、こうした背景画像を飲食店に代わって販売することで、収益悪化に苦しむ飲食店を少しでも支援できればというのが狙いだ。飲食店に直接訪問できないファンが購入しているケースが多いようだ。

 「飲食店からの問い合わせが急速に増えていて手が回らない」と苦笑するのはONLINE PARTY MARKETを運営している企業の一つ、ラナンキュラス代表取締役の北本貴子氏だ。

 同サイトはmugichocolate代表取締役の界外亜由美氏、てにをは代表取締役の岡本真梨子氏を含めた3人が始めたボランティア活動で、緊急事態宣言が終わる5月6日までの期間限定ショップとして始めた。だが、「自粛要請が長引くかもしれないため続けてもらえないかと店舗から要請が来ている」(北本氏)という。今後、どのように運営していくのは現時点で未定だ。

 ONLINE PARTY MARKETは写真データの販売売り上げから決済手数料やサービス手数料、振込手数料を差し引いた金額を飲食店に還元する仕組み。実際の店舗での飲み会が難しい緊急事態宣言下で、新たに生まれたオンライン飲み会の潮流をうまくつかんだボランティア活動は、飲食店にとってありがたい存在となっているようだ。

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