みずほ銀行は16日、人工知能(AI)を利用し、インターネットで審査が完結する中小企業向けの融資サービスを5月から始めると発表した。法人融資にAIを活用するのはメガバンクとしては初めて。口座の入出金情報、ネット通販での販売履歴などを分析し、融資の可否を判断。従来は約1週間かかった審査が最短2営業日で完結するのが特徴だ。これまでうまくタッチできていなかった小規模事業者への資金ニーズに応え、新たな需要を掘り起こす狙いがある。

 オンラインで完結するAI融資は、アルトア(東京・千代田区)、リクルートホールディングスなどが既にサービスを始めている。みずほ銀は後発組だ。しかし、みずほ銀の飯島弘行・常務執行役員は「先行組は、会計ソフト利用者や自社ショッピングサイト利用者など融資先を限定している。我々には、みずほ銀の口座を持つ80万の法人客がいる。融資先を限定せず、幅広い企業に融資したい」と強調する。資金供給のノウハウに強みがある銀行の特徴を最大限生かす考えだ。

 従来の銀行融資と異なるのは、決算書類の提出が不要という点だ。その代わり、顧客の同意を得たうえで預金口座の入出金、アマゾンなどEC(電子商取引)サイトでの販売履歴、クラウド会計ソフトなどの各データを分析し、返済能力を評価。融資可能額と金利を提示するという仕組みだ。

 みずほ銀がAI融資に参入する理由の一つに、中小企業から融資の利便性を求める声が多かったことがある。同行が中小企業を対象に実施したアンケートで「新たに借り入れをする際、重視することは?」と聞いたところ、「申し込み手続きが簡単」「審査書類提出が簡素」「融資可否が早く回答される」などの要望が多数あった。みずほ銀は、わずらわしい融資審査手続きが「資金調達を困難にしている面もある」と判断、AI融資サービスに参入することにした。

 銀行側の事情もある。これまでメガバンクの営業は、売上高が年10億円以上の大企業をターゲットとしていた。行員数が限られる中、「預金口座を持つ売上高10億円未満の80万の中小企業うち、9割の企業に対して営業がうまくできていなかった」という。「中小企業経営者が一時的な借り入れニーズが出た時、自身の預金やカードローンでしのいでいた。ここでビジネスチャンスを逃すことが多かったが、AI融資でここにスピーディーに対応できれば」と飯島氏は力を込める。

 AI融資を巡っては、三菱UFJ銀行も19年度中にも同様のサービスを提供することを検討している。相次ぐメガバンクの参入は、大企業偏重で営業をしてきた従来の融資姿勢からの転換を図る狙いが透けて見える。超低金利下で銀行の収益が細る中、デジタルを駆使して収益拡大を狙う。それだけ構造的な変化が金融業界で起きていることの表れなのかもしれない。

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