(写真:稲垣純也)
(写真:稲垣純也)

 社員にはどのタイミングでどのように説明したのか。

神田:4月15日の取締役会の直後に、マネーフォワードフィナンシャルの社員に集まってもらった。マネーフォワードの辻庸介社長、そして私が経緯などを説明した。サービスインに向けて一丸となって取り組んできた中で、サービス開始前に参入を延期するという判断を下したことについて、大変心苦しいし、申し訳ないと伝えた。

 直前の直前まで作業をしていた社員たちだ。当然、ショックを受けただろうし、重い雰囲気だった。

 マネーフォワードは4月15日、仮想通貨交換業登録に向けた手続きの中止、取引所・交換所のシステム開発の停止、メディア事業の終了を表明した。それでも「仮想通貨関連事業への参入延期」としている理由は。

神田:仮想通貨を取り巻く現在の環境は一時的なものだと考えているためだ。だが、この状況がどのくらい続くのかが今の段階では不透明と言える。

 再びマーケットが熱を帯びる日が必ず来る。仮想通貨とブロックチェーンが両輪で受け入れられるようになるはずだ。この未来については疑いようがない。

 今回は仮想通貨交換業への道をいったん断念したが、マネーフォワードグループとして今後、この領域にどのような形であれば関わっていけるのか、参入する分野を見極める日が来るかもしれない。様々な可能性を今後も模索していくつもりだ。

 そのため、今回開発したシステムは売却しない。グループの資産として持ち続ける。マーケットやユーザーの理解が進んだとき、このシステムを手直しして改めて仮想通貨交換業参入を図るという選択肢も可能性として残している。

次ページ システムはほぼ完成していた