ミニバンの前部座席と後部座席の間に仕切りを設け、空調を使って気圧の違いをつくり出すことで飛沫感染を防ぐ
ミニバンの前部座席と後部座席の間に仕切りを設け、空調を使って気圧の違いをつくり出すことで飛沫感染を防ぐ
  

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、自動車メーカーが医療分野の支援に乗り出す動きが広がってきた。ホンダは4月14日、軽度感染者の搬送に使っても、運転者への飛沫感染を防ぐことができる車両の自治体への納入を始めたと発表した。

 ミニバンの前部座席と後部座席の間に仕切りを設け、空調を使って気圧の違いをつくり出すことで、感染者が乗る気圧の低い後部座席から、気圧の高い前部座席に気体が流れないようにする。

 新型コロナの患者のうち、軽症者は病院ではなく自治体が確保した宿泊施設などに移し、療養してもらう動きが広がっているが、移送時の感染リスクをどう抑えるかという課題がある。7日、都内のホテルに感染者を移送した際には、民間救急車を利用した。このほかバスやレンタカーが想定されているが、移送の対象者が増えれば移動手段が逼迫する可能性がある。

参考記事:東横インに軽症者ら移送、ホテル療養中の生活どうなる?

 ホンダはミニバン「オデッセイ」と「ステップワゴン」で間仕切りを設けた車両を造り、13日に港区と渋谷区に納入した。今後は自治体向けに50台程度の納入を目指すという。前部座席の後ろに置いた板で車内を仕切っている。ルームミラーから後方が見えるように間仕切り上部には透明な部分を設けている。

 運転席側の空調で外気を取り込んで風を送り、車両後部から排気することで、前部と後部の気圧差をつくり、後部座席に乗った患者が出す飛沫が車両前部に飛ばないようにしているというわけだ。「特別な工夫はない。他の自動車メーカーでも同様の対応ができるはず」(ホンダ広報担当)という。

 このほかにもホンダは医療従事者が使用するフェースシールドも5月末までの量産を目指し、ものづくりセンター栃木、鈴鹿製作所などの国内事業所で金型などの準備に取り掛かっている。

 自動車メーカーではホンダに先駆けて、トヨタ自動車が7日にフェースシールドの生産や、タクシー車両を軽症患者の移送に活用するなどの支援策を発表している。ホンダは当初、今回の車両の納入などを自社ウェブサイトでの公開にとどめ、メディアへのリリースまでは出さない予定だったという。

 しかし、社内からの「より広く世の中に伝えるべきだ」との声を受け、公表することになったという。八郷隆弘社長は2019年11月の日経ビジネスのインタビューで「(トヨタとは)よきライバルとして、日本を盛り上げられたらいい」と答えている。国難ともいえる状況への貢献を少しでもアピールしようという「ライバル心」が情報開示につながったと見るのはうがちすぎだろうか。

 新型コロナの影響で世界的な販売減が避けられない自動車各社。ホンダは新型コロナの発生源となった中国や患者数が世界で最も多い米国での販売比率が高く、業績へのインパクトは大きそうだ。今やトヨタグループ、仏ルノー・日産自動車・三菱自動車の日仏連合、そしてホンダに3分されたといっていい日本の自動車メーカー。ホンダが用意した「走る陰圧室」は、トヨタとは距離を置く独立した自動車メーカーとして、ファイティングポーズは崩さないとの自負が透けるようでもある。

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12/15ウェビナー開催、「外食を救うのは誰か」第1回――すかいらーく創業者の横川氏が登壇

 新型コロナウイルスの感染拡大から3年目となり、外食店に客足が戻りつつあります。一方、大手チェーンが相次ぎ店舗閉鎖を決定するなど、外食産業の苦境に終わりは見えません。どうすれば活気を取り戻せるのか、幅広い取材を通じて課題を解剖したのが、書籍『外食を救うのは誰か』です。
 日経ビジネスLIVEでは書籍発行に連動したウェビナーシリーズを開催します。第1回目は12月15日(木)19:00~20:00、「『安売りが外食苦境の根源だ』ファミレスをつくった男が激白」がテーマです。講師として登壇するのは1970年にファミリーレストラン「すかいらーく」1号店を開業した横川竟氏と、外食経営雑誌『フードビズ』の神山泉主幹です。書籍を執筆した記者の鷲尾龍一がモデレーターとなり、視聴者の皆様からの質問もお受けします。ぜひ、議論にご参加ください。

■日程:12月15日(木)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「安売りが外食苦境の根源だ」ファミレスをつくった男が激白
■講師:横川竟氏(すかいらーく創業者、高倉町珈琲会長)、神山泉氏(外食経営雑誌『フードビズ』主幹)
■モデレーター:鷲尾龍一(日経ビジネス記者)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。有料会員以外は3300円(税込み)となります。
※第2回は詳細が決まり次第ご案内します。

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