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 三井不動産と東京ガスは4月15日、再開発で3月末に完成した高層ビル「日本橋室町三井タワー」(東京・中央)の地下に設置した、コージェネレーションシステムを記者向けに公開した。都市ガスを燃料に発電して供給するとともに、発電に伴って生じた廃熱も冷暖房に利用する。

 再開発エリア内だけでなく、周辺のオフィスビルや百貨店、ホテルといった既存の施設も含めて街一帯にエネルギーを供給する国内初の取り組みで、いわば都心に発電所を構えた格好。災害に強い街づくりの一環だ。

コージェネレーションシステムは、電力を約20棟(延べ床面積100万平米程度)に、熱を約10棟(延べ床面積30万平米程度)に供給する

 昨秋の北海道地震で大規模停電が生じたこともあって、改めて課題となっている震災時の電力供給。一定規模の建物には非常用発電機の設置が義務付けられているが、三井不動産で環境・エネルギー事業部長を務める中出博康氏によると、「備蓄できる燃料に限りもあり、数時間で電気が途絶えてしまう場合がほとんど」だという。また、給電先も誘導灯やスプリンクラーといった消火や避難の設備に限られ、「スマホの充電や照明の点灯といった一般に期待されていることはできない」(中出氏)のが実態だ。

 こうした従来の非常用電源とは異なり、今回のシステムでは、災害時に事業継続計画(BCP)の遂行で必要な電力の供給を行うことができる。帰宅困難者の支援にも電力を充てる方針で、日本橋室町三井タワーに設けた屋根付広場にスマホ向け充電コンセント320口(1時間あたり2700人に対応可能)を備えるなどしている。

中央監視室では、再開発エリア外の建物も含む街一帯のエネルギーを制御する。休日にはオフィス向けを減らし、百貨店向けを増やすといった調整も可能だ

 発電の燃料には、災害に強い中圧ガスを採用。中圧ガスの導管は、東日本大震災でもガス漏れを起こさなかったといい、供給停止はまずありえないという。