「これから90日間は新機能の開発を凍結し、すべての開発リソースを信頼、安全、プライバシーの問題に集中させる」。新型コロナウイルスの感染拡大で利用が広がったリモート会議ツール「Zoom(ズーム)」に、安全性やプライバシー保護の問題が持ち上がった。提供元の米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズのエリック・ユアンCEO(最高経営責任者)が利用者に釈明する事態となった。だが、ズームの優位は続きそうだ。

8日(米国時間)には会議IDを非表示にするなどセキュリティー条件を更新した
8日(米国時間)には会議IDを非表示にするなどセキュリティー条件を更新した

 各国で都市封鎖や外出自粛が進む中、企業や個人がリモートで会議を開く機会が急増している。その影響はズームの参加者数に大きく表れた。「2019年12月までは1日当たりの会議参加者数は最大で1000万人程度だったが、3月には毎日2億人以上の参加者が集まるようになった」(ユアンCEO)という。ズームの時価総額は3月23日の時点で、445億ドル(4兆8000億円)まで上昇していた。19年12月末は188億ドルだった。

 国内でズームの代理販売を17年に始めたNEC子会社のNECネッツエスアイ(東京・文京)。「3月の1週目で、それまでの1カ月分の引き合いが来た。翌週にはさらに2倍になった」と小林操オフィスソリューション事業部長は驚きを隠せない。事務処理が間に合わずに試用ライセンスを使ってもらうケースもあるほどだという。

 ところが、ズームのスマホ用アプリが米フェイスブックに機器の情報などを無断で送っているプライバシーの問題を米メディアが3月下旬に報じたころから風向きが変わった。ソフトのインストール中に管理者パスワードを取得する問題や、チャットに書き込んだ文字列をクリックさせて認証情報を摂取したり悪意のあるプログラムを起動させたりできる脆弱性の問題も見つかった。暗号化や鍵管理の方式に問題があるとの指摘もある。