日本電産は4月12日、EV(電気自動車)向けの駆動用モーターなどの新製品を発表した。強烈に売り込みを図るのが、世界最大のEV市場である中国。供給量を増やし、収益拡大を狙うが、勝算はあるのか。

日本電産が発表したEV用モーター「E-Axle」の高出力モデル。幅広い車種に対応するため、重量、出力の異なる3種類のモデルを準備した

 日本電産はハードディスクドライブ(HDD)用モーターや、洗濯機などの家電用モーターで世界的に高いシェアを誇る。一方で、車載用モーターは近年、力を入れ始めた分野。もともと、2018年3月時点で「25年度に1000億円」としていた同事業の売り上げ目標を足元で「25年度に2000億円」に引き上げ、強気の姿勢をみせている。

 背景にあるのが、重点市場に位置付ける中国での実績が出始めていることだ。中国国有自動車中堅の広州汽車グループが生産する量産型EVでの採用が決まった。他にも7社から引き合いがあるという。

 中国現地での生産能力も強化しており、浙江省で世界最大級の車載用モーター工場を建設。4月15日から稼働する。この工場の隣接地に、200億~300億円を投資して第2工場を設ける計画も立てている。

「毎日のように中国メーカーからモーター注文が寄せられる」と語る日本電産専務執行役員の早舩一弥氏

 もっとも、中国では、EVメーカーに対する政府の補助金が減額され、20年にも打ち切られる方針。補助金を原資に価格を下げてきた各社の収益を圧迫し始めており、今後、EV業界の淘汰・再編が進み、市場拡大ペースが落ちる可能性もある。

 そうした中でも強気の姿勢を崩さない日本電産。その裏には、自社製品に対する絶対的な自信があるようだ。例えば、新たに開発したモーターはインバーターやギアといった駆動に必要な部品を一体化させ、モーターの小型・軽量化を図った。主要部品を内製化することでコストも削減。車載用モーターを担当する早舩一弥・専務執行役員は「欧米メーカーに対しては価格面で、中国の地場メーカーに対しては技術面でリードしている」と自信をのぞかせる。

 ただ、中国では国策として車載用電池やモーターなど基幹部品の産業化を急いでいる。寧徳時代新能源科技(CATL)が車載用電池で世界トップシェアに躍り出るなど、追い上げは激しい。車載用モーターの巨大需要を狙っているのは地場メーカーも同じ。日本電産は価格と技術でどこまでリードを保てるか。まずは、高い目標を達成できるかが試金石となる。

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