メイ首相は労働党との妥協案を模索するとみられる(写真:ロイター/アフロ)
メイ首相は労働党との妥協案を模索するとみられる(写真:ロイター/アフロ)

 EU(欧州連合)は4月10日、首脳会議を開き、英国がEUを離脱する期限の再延長を認めることで合意した。4月12日に「合意なき離脱」となる事態は回避された。新たな離脱期限は10月31日となる。

 今後の展開について、慶応義塾大学の庄司克宏教授は「テリーザ・メイ首相は10月の期限に向けて、自らが提唱してきた協定案を通すことに全力を注ぐ」とみる。同首相は、自らがEUと合意した離脱協定案を議会が可決すれば辞任する意向を表明している。この方針を貫く。辞任説も浮上しているが「辞めるなら、もうとっくに辞めている」(庄司教授)。

 この協定案をめぐって1月15日に行われた最初の採決は賛成202、反対432。英近代史上、最大の票差で否決された。だが、3月29日の3度目の採決では「賛成286、反対344」にまで差が縮まった。50人の差をひっくり返せばよいところまできている。

 課題は野党・労働党といかに妥協して、この差を埋める賛成票を確保するかだ。メイ首相はこれまで、自分の案を可決しなければ「合意なき離脱になるかもしれない」などと“脅し”をかけることで賛成を求めてきた。だが、労働党のクーパー議員の法案が通ったことで「合意なき離脱」は選択肢から消えており、もう“脅し”は効かない。

 妥協案として浮かぶのは、①EUとの関税同盟を協定案に盛り込むこと、もしくは②国民投票のやり直しだ。①は労働党の主張を取り込む。この点についてEUは扉を閉ざしていない。保守党内から反発する声が上がるのは必至だが、「『関税同盟』を他の表現で言い換えることで切り抜けられる可能性はある」(庄司教授)。

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