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 欧州連合(EU)は10日、臨時首脳会議を開き、英国のEU離脱(ブレグジット)の期限を10月31日に延期することで合意した。当初は3月29日が離脱日で、それを4月12日に延期していたので再延期となる。メイ英首相は6月末までの延期を要請していたが、EUのトゥスク大統領やメルケル独首相が1年近い長期延期を提案しており、10月末が落としどころになった。6月末に進捗をレビューする。

 もはや英議会はさじを投げている雰囲気だった。10日の臨時首脳会議で合意できなければ、合意なき離脱の可能性があったにもかかわらず、英議会は紛糾するばかりで何の方向性も示せなかった。

10日のEU緊急首脳会議の前日に、メイ英首相はメルケル独首相と会談。メルケル首相は長期の離脱延期を推した(写真:ロイター/アフロ)
 

 EU臨時首脳会議の前から市場にも楽観ムードが漂っていた。ポンドは比較的安定し、むしろ会議前には対ドルでポンドは上昇していた。金のオンライン取引大手である英ブリオンボールトによると、株式などのヘッジ商品ともいえる金の価格も反応が少なかった。

 3月21日に開催された前回のEU首脳会議では、楽観予想を覆して短い延長を設定するなどEU首脳が厳しい判断を下したが、今回は事前の予想通りの結果になった。フランスのビジネススクール、INSEAD(インシアード)のダグラス・ウェーバー教授は、「英国もEUも合意なき離脱は避けたい。延期しか選択肢はないだろう」と指摘する。

解散総選挙では保守党が敗北する可能性が高い

 英議会が機能不全に陥っているのは、英議員の保身によるところが大きい。状況を打開するために、メイ政権は早期に解散総選挙に打って出る手もあった。

 英メディアによると、メイ首相は離脱協定案が3度目の否決をされた3月29日の後に、解散総選挙の道を探った。しかし、分析チームが保守党の敗北の見通しを示したために、すぐに却下されたという。保守党は国益より選挙の敗北を嫌って、動かなかったといえる。