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 コンビニエンスストア各社の24時間営業見直しの動きが加速している。ファミリーマートは6月、東京都や秋田県、長崎県の約270店に呼び掛けて時短営業の実験を始める。既にセブン-イレブン・ジャパンが直営店で時短営業の実験を始めているほか、フランチャイズ(FC)加盟店についても時短営業の実験に乗り出すと表明している。

 ファミマは2017年から一部店舗を対象に時短営業の実験をしてきた。今回は対象地域内の複数の店舗で時短営業をすることで、商品配送への影響なども調査するという。ファミリーマートの沢田貴司社長は「これまでの実験は直営店のみで、深夜に店を閉めると売り上げ・利益ともに下がることが分かった。今回は(そうしたリスクを)加盟店に説明し、合意を得た上で進める初めての取り組みとなる」と話す。

ファミリーマートは時短営業の実験を拡大する

 これまで24時間営業を堅持する方針を打ち出してきたセブンイレブンが動き、ファミマも実験の拡大に乗り出した。24時間営業については、以前から一部の加盟店オーナーが問題視してきた。ただ24時間営業はコンビニの利便性と社会性を象徴する機能だとして、見直しがそれほど進んでこなかった。

 その問題がここにきて一気に進み始めたのはなぜか。それはコンビニ各社、すなわちチェーン本部の顧客が消費者ではないからにほかならない。

 コンビニがスーパーや百貨店などと異なるのは、セブンイレブンやファミマといったコンビニ各社が店舗を直接運営していない点にある。ごく一部の直営店を除けば、直接消費者と向き合っているのは、本部とFC契約を結ぶ加盟店ということになる。

 コンビニ各社が発表している営業収益(売上高)は、各店舗が販売した売り上げの合計ではなく、コンビニ各社が加盟店から受け取ったロイヤルティーが中心だ。ちなみに各店舗の売り上げの合計は「チェーン全店売り上げ」といった形で各社が発表している。つまり、コンビニ各社にとって直接の顧客は加盟店のオーナーということになる。

 コンビニのFC契約は店舗の売り上げから商品仕入れ額を差し引いた粗利益を本部と加盟店で分け合う形式を取っている。本部にとっては1店舗ごとの売り上げを伸ばすほか、店舗を増やすことでも収入を伸ばせる。また営業時間についてもなるべく店を開けて、少しでも売り上げを増やすことが本部の収入増につながる形だ。

 本部であるコンビニ各社は魅力的な商品の開発や新しいサービスの導入によって、各店舗の売り上げを伸ばす努力をしてきた。店舗の売り上げが伸びることはオーナーにとってもプラスになる。だが、1日1店舗当たりの販売額を示す平均日販は各社とも横ばいの状態が続く。

 他方、人手不足による人件費の高騰は基本的には加盟店が負担しなければならない。また本部による出店数の拡大は、各加盟店にとっては売り上げ減につながりかねない。配送の効率や他社の出店を防ぐために、ある地域に集中的に出店するドミナント戦略は、本社にとっての収入増にはつながっても、加盟店の利益にはつながりにくい。

 それでも出店の余地が十分にあり、日販が伸びている状態であれば、本部とオーナーの共存共栄が可能だった。だが、日販の成長が鈍り、人手不足が明らかな状態ではオーナー側の負荷が高まるばかりだった。

 コンビニ各社が24時間営業の見直しへと動き出したのは、本部にとっての顧客である加盟店オーナーの苦境がいよいよ無視できないところまで来たということだろう。一方で、現在のコンビニの仕組みは24時間営業が前提になっている。その24時間営業を見直すことは、コンビニという小売店の価値と競争軸を見直す動きにもつながるかもしれない。

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