米ゼネラル・エレクトリック(GE)のヘルスケア部門の日本法人であるGEヘルスケア・ジャパンは4月10日、医療機関向けクラウドサービス事業に本格進出すると発表した。病院内にある超音波装置など医療機器の稼働率向上を後押しする狙い。ハードからサービスへと事業の軸足を移すGE本体の戦略にも合致するが、日本で手掛ける裏には苦しい病院経営の実態がある。

GEヘルスケア・ジャパンの多田荘一郎社長は「医療機関の経営効率化の手助けをしたい」と話した

 同日、会見した多田荘一郎社長兼CEO(最高経営責任者)は「医療機器を販売するだけのビジネスは縮小していく。病院の生産性を向上させるようなサービスが今後求められる」と、新事業に乗り出す背景を説明した。

 もっとも、ハードからサービスへ、という戦略だけでは片づけられない事情がある。顧客である日本の医療機関の経営状況が悪化しているからだ。

 医療機関の収入である「診療報酬」は2年に一度改定されるが、国の医療費抑制の方針を受け、この条件は年々厳しくなりつつある。

 例えば、ある手術を行って診療報酬を得るためには「専門資格を持った医師が2名以上常勤していること」などの条件が付与されるようになった。つまり、これまでと同じ医療行為をしているだけでは、同等の報酬が手に入らないということだ。

 こうした環境変化に伴い、日本では4割の病院が赤字経営とされる。多田社長は「今後も高額な医療機器を導入してもらうためには、まずは医療機関の経営状況を良くする必要がある」と指摘。クラウドサービスで病院の収益力向上を促し、その上で、高額な医療機器の販売につなげるGEヘルスケアの狙いが透ける。

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