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 日産自動車元会長のカルロス・ゴーン氏の弁護団は9日、ゴーン氏が東京地検特捜部によって4日に逮捕される前に撮影した動画を公開した。ゴーン氏は動画の中で「私は無罪。これは単に事件ではなく、陰謀、謀略、中傷だ」と強調。動画公開後に記者会見した弁護人の弘中惇一郎弁護士は「検察は残虐な仕打ちでゴーン氏の自白を強要している」と話し、世論の支持を訴えた。

4度目の逮捕直前に撮影されたゴーン氏の動画(弁護団提供)

 ゴーン氏は動画の中で、「陰謀」は日産とルノーのアライアンスが統合や合併に進むことに関して「ある人たち」が日産の独立性を脅かすことを恐れたために起こった、と言及。そして「数名の幹部」について「会社の価値を毀損している」と非難し、「汚いたくらみを実現させるために仕掛けた(人物の)名前をあげることができる」と述べた。低迷する日産の業績に触れ「アライアンスの将来を強化するビジョンもない」と述べるなど、日産の現経営陣に逆風を吹かせる狙いもあるとみられる。

 オリジナル動画には実名も含まれていたが、弁護団が「現段階で表に出すのは問題がある」としてその部分を削除したという。今後の公判への影響を勘案したものとみられる。

 記者会見で、弘中氏は「3月の保釈決定により、証拠隠滅や逃亡の恐れがないことは明確に確認されていた」と指摘した。押収物にはゴーン氏の妻・キャロル氏の携帯電話やパスポートなど本来は必要でないものも含まれていたとした上で、「不当に圧力をかけて屈服させることを狙ったもので、このような違法捜査は国内外の世論の批判を浴びる」とも訴えた。

 弁護団は10日、最高裁判所に特別抗告するという。

 特捜部は4日、ゴーン氏を会社法違反(特別背任)の疑いで逮捕。関係者によると、ゴーン氏とキャロル氏が就寝中の早朝、20人ほどの捜査官が保釈中の住居に踏み込んだという。ゴーン氏の逮捕は昨年11月以降4度目。15年から18年の間にオマーンの友人がオーナーを務める販売代理店に支出したお金のうち約5億6000万円を還流させ、日産に損害を与えた疑いが持たれている。

 ゴーン氏はすでに、報酬を有価証券報告書に過少に記載した金融商品取引法違反、サウジアラビアの知人側に日産子会社から約12億8000万円を不正支出させるなどの特別背任の罪で起訴された。9月ごろとみられていた公判開始は4度目の逮捕で先送りとなる見通し。検察側と弁護団側の間での有利なポジションの取り合いは当面、続きそうだ。

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