パナソニックは4月9日、同社が提供する住宅リフォームサービスを体験できる施設「TOKYO リノベーション ミュージアム」を東京汐留ビル内に13日にオープンすると発表した。面積は約1000平方メートルで、19年度で10万人の来場者を目指す。今後高まると予想される中古マンションなどの改装需要を取り込むため、同社のサービスをアピールする狙いだ。

リノベーションとは、居住者の希望に合わせて中古物件を大胆にリフォームする住宅改装のこと。近年、新築マンションの価格高騰、ライフスタイルの多様化を背景に、中古マンションを購入してリノベーションを施すケースが増えている。
パナソニックがオープンする施設では、タッチパネルでリノベーションの助言をするサービスも提供する。「食事をとるときは大勢がいいか、少人数がいいか」といった趣旨の質問を投げかけ、「あなたにはナチュラルなリラックス空間が向いています」とリノベーションのイメージを提案するという。
こうしたサービスを導入した狙いについてパナソニックの住宅関連事業の社内カンパニー、ライフソリューションズ社の北野亮社長は「自分自身がどのような暮らしをしたいのかに気付き、リノベーションを前向きに検討してもらいたいため」と説明する。
実際に、リノベーションした75平方メートルのマンション一戸を2種類展示するほどの力の入れよう。パナソニックはこれまでもシステムキッチンなどを体験できる施設を全国で運営していたが、あくまでリビングや寝室など一部の生活空間の展示にとどまっていた。
パナソニックは住宅関連事業を車載機器事業と並ぶ成長領域に位置付けている。2017年10月にはパナホームを完全子会社化し、住宅から設備、建材、家電まで「家をまるごと提供する」戦略を進めてきた。しかし、業績は思うように伸びず、住宅関連事業の柱であるリフォーム事業では「18年度に1000億円」としていた売り上げ目標を「25年度に500億円」に下方修正していた。
新たな施設は、そんな思うようにいかないリフォーム事業のテコ入れ策となるのか。19年10月に予定されている消費増税を見越し、業界ではリノベーションの駆け込み需要が膨らむとの期待もある。住宅関連事業の立て直しには、まずはこの駆け込み需要をどこまで取り込めるかが勝負となりそうだ。
有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。
※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。
※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。
この記事はシリーズ「1分解説」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?